日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG40] 沿岸海洋生態系─1.水循環と陸海相互作用

2019年5月28日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:藤井 賢彦(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、山田 誠(龍谷大学経済学部)、小路 淳(東京大学大気海洋研究所)、杉本 亮(福井県立大学海洋生物資源学部)

[ACG40-P04] コアマモの分布にハクチョウ類が与える影響の評価

*田中 義幸1佐藤 史幸1 (1.八戸工業大学 工学部 生命環境科学科)

キーワード:海草、白鳥

海草の分布や生物量は、様々な環境要因によって変化する。動物による捕食圧もその要因の一つである。青森県平内町小湊の浅所海岸に生育するコアマモは、毎年飛来するハクチョウ類の捕食圧の影響を受けていることが指摘されている。本研究では、浅所におけるコアマモの分布や生物量の季節変化を調査、ならびにハクチョウ類の糞も分析し、コアマモの分布にハクチョウ類が与える影響を評価した。2018年7月、10月、11月、12月に測線調査を実施し、57定点のコアマモの有無を計測、一部の地点においては20cm*20cmの枠内のコアマモを採集、株数と生物量を記録した。分布を面的に見ることができるドローンを用いた空撮も実施した。2018年2月と3月にオオハクチョウの糞を採集し、糞内容物を目視で解析、炭素・窒素安定同位体比分析も行った。測線調査の結果、10月に比べ11月は分布地点が減少、12月にはほぼ消滅した。空撮でも激減が確認できた。株数は7月から10月にかけてやや減少、地下部重量はあまり変わらないのに対し、地上部重量はやや増加する傾向がみられた。10月から11月の株数、地上・地下部重量は大幅に減少した。2月の糞内容物として植物片や海藻片が、3月には籾殻が確認され、同位体比解析では2月と3月の間に食性の変化が確認できた。広範囲かつ急激なコアマモの分布地点・生物量の減少には、ハクチョウ類やその他の渡り鳥による捕食の影響が大きかったことが推察される。12月にはコアマモの生物量が極めて小さくなることから、12月以降、越冬中のハクチョウ類はコアマモ以外の餌に依存していると考えるのが妥当である。水田が雪で覆われる前後の12月や3月には、水田の落穂に依存していることが示唆された。