09:15 〜 09:30
[ACG43-02] 高解像RCM実験の情報を用いたハイブリッドダウンスケーリングと降雨流出氾濫モデルによる河川水位・氾濫リスク評価
キーワード:ダウンスケーリング、領域気候モデル、降雨流出氾濫モデル
軽い計算コストで実施できる統計的ダウンスケーリング(DS)やバイアス補正は、領域気候変化予測の不確実性を評価するためには必要不可欠である。一方で、1~2km程度の格子間隔での高解像RCMによる力学的DSは、計算負荷が大きいために数多く実施するのは極めて困難だが、観測情報の乏しい地域を含めて、気温や降水量などの気候学的特性を合理的に表現できる。この数少ない高解像RCMの情報を低解像RCMの空間内挿(HI)に使い、RCMだけでつくられた高解像の分布構造を生かしたバイアス補正(BC)を施す手法が開発され、JPGU2018などで紹介した。当初は、降水量の補正において平均値の比の補正のみを適用すいていたが、強雨側と弱雨側で連続する関数を用いてフィッティングし、関数の母数比で補正する方法に変更した。その結果、降水量の極値近傍値での再現性が向上することが確かめられた。本手法は、d4PDFおよび2℃昇温実験のダウンスケーリングに適用し、創生プロジェクトのデータを活用して2km解像度で計算中である。計算途中結果について発表で紹介する。
ダウンスケーリング計算から得られる高解像度の降水データは、関東を流れる鬼怒川・小貝川流域での降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)実験に利用された。計算例の一つとして、流域雨量が6%増加した事例を挙げる。この実験では、日降水量の年最大値は約15%増加しており、鬼怒川下流域のピーク流量の年最大値の増加率は、これにちかい12%であった。それに対して、ピーク水位の年最大値の増加率は1%程度しかなかった。河川には氾濫注意水位・氾濫危険水位など様々な水位が設定されている。危険レベルの水位に達する回数は、温暖化によって増加していたが、特に低い危険レベルでの水位の増加の方が大きく、ハイリスク水位の回数の増加は顕著に大きいわけではなかった。もともと、河道断面構造上、高い水位の面積が広くなっていることと、ダムモデルが導入されていることがこの結果に結び付いていると推定された。氾濫回数の増加も顕著ではなかったが、氾濫面積の最大値は顕著に増加した。大きなダメージをもたらす水害が増えるリスクを示唆している。発表では、複数のシナリオについて計算した結果についても、可能な範囲で紹介する。
ダウンスケーリング計算から得られる高解像度の降水データは、関東を流れる鬼怒川・小貝川流域での降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)実験に利用された。計算例の一つとして、流域雨量が6%増加した事例を挙げる。この実験では、日降水量の年最大値は約15%増加しており、鬼怒川下流域のピーク流量の年最大値の増加率は、これにちかい12%であった。それに対して、ピーク水位の年最大値の増加率は1%程度しかなかった。河川には氾濫注意水位・氾濫危険水位など様々な水位が設定されている。危険レベルの水位に達する回数は、温暖化によって増加していたが、特に低い危険レベルでの水位の増加の方が大きく、ハイリスク水位の回数の増加は顕著に大きいわけではなかった。もともと、河道断面構造上、高い水位の面積が広くなっていることと、ダムモデルが導入されていることがこの結果に結び付いていると推定された。氾濫回数の増加も顕著ではなかったが、氾濫面積の最大値は顕著に増加した。大きなダメージをもたらす水害が増えるリスクを示唆している。発表では、複数のシナリオについて計算した結果についても、可能な範囲で紹介する。