日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG43] 気候変動への適応とその社会実装

2019年5月26日(日) 09:00 〜 10:30 301A (3F)

コンビーナ:石川 洋一(海洋研究開発機構)、渡辺 真吾(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、大楽 浩司(防災科学技術研究所)、座長:大楽 浩司(防災科学技術研究所)、石川 洋一(海洋研究開発機構)

09:45 〜 10:00

[ACG43-04] 日本周辺のSI-CAT海洋プロダクトの検証

*山中 吾郎1中野 英之1坂本 圭1豊田 隆寛1浦川 昇吾1辻野 博之1西川 史朗2若松 剛2,3,4石川 洋一2 (1.気象庁気象研究所、2.海洋研究開発機構、3.ナンセン環境リモートセンシングセンター、4.ビヤークネス気候研究センター)

キーワード:SI-CAT、気候変動適応、高解像度海洋大循環モデル

日本周辺のSI-CAT海洋プロダクト(海面水温、海面水位、海氷、黒潮)の再現性を検証した。用いたデータ(SICAT10 Version2)は、北太平洋10km解像度の海洋モデルをJRA-55及びCMIP5(MIROC5, MRI-CGCM3, GFDL-ESM2M, IPSL-CM5A-MR)大気外力で駆動した現在気候実験(1960-2005年)における結果である。検証に用いた観測データは、COBE-SST2およびCMEMSである。海面水温と海面水位の観測データとモデルデータについて、平均の差と分散の比のt-検定とF-検定を行い、それぞれのp値をモデルの信頼性の尺度とした。モデルで再現された海面水温については、北太平洋の主要な長周期の変動モードは各ランにおいて概ね再現されていた。日本周辺については、東北太平洋沖や日本南方沖など渦活動が活発な海域を除いて、変動場の信頼性は高い。領域平均の海面水温の推移は長期的な上昇トレンドを示していた。モデルで再現された海面水位については、一般に海面水温と比べると信頼性は劣るものの、日本周辺の平均的な海面水位は、どのモデルもPDOに関連した長周期変動および温暖化に関連した長期的な上昇トレンドを示す。黒潮については、10kmモデルを用いたことにより、平均的な黒潮流路や続流の位置の再現性は概ね良い。黒潮続流の緯度の変動については、観測と同様に顕著なトレンドは見られなかった。冬季のオホーツク海の海氷面積については、IPSLランの再現性は良いが、MIROCランで過小評価、MRIランとGFDLランで過大評価となっていた。冬季の長期的なトレンドは、GFDLランは観測と同様に統計的に有意な減少を示していた。