[AGE28-P04] 地殻流体の流動特性の高精度評価に向けた粘性・透水係数同時測定システムの開発
キーワード:Hagen-Poiseulleの法則、Darcyの法則、透水係数
本研究では、高精度粘性測定技術と高精度液体高圧力発生技術を組み合わせることにより、地殻内における流体の挙動を厳密に評価する為の高精度高温高圧粘性・透水係数同時測定システムを開発することを目的とする。地殻をはじめとした多孔質媒体の特徴の一つに、その内部にある複雑な幾何形状をもつ空隙を経路として流体を透過させることができるという点がある。つまり、多孔質媒体は水理学的性質を有している。近年、高レベル放射性廃棄物地層処分システムの長期安定性を評価する上で、また、流体とテクトニックな岩盤の変形の関係性を明らかにする為に、対象となる岩盤の透水・物質輸送特性を詳細に把握する必要性が強調されるようになった。古くより、高圧下にあると考えられる地殻流体の流動特性を把握する為に、数多くの研究開発がなされてきたが、地殻流体の粘性の圧力依存性については見落とされがちであり、それに伴う岩石の透水係数の変化を厳密に評価した研究例は数少ない。透水係数の高精度な測定に関する計量学的視点での技術開発は今までに行われてきておらず、また、一般的に用いられているDarcyの法則の適用限界に関する計量学的な検討は行われてきていない。これらに起因して、高圧下における岩石中を流れる流体の流動状態並びに遷移挙動には不明な点が多々ある。本研究では、細管法による高精度な粘性測定で用いられるHagen-Poiseulleの法則に基づく流れ場の記述と、Darcyの法則に基づく流れ場の記述の類似性に着目して、高温高圧下における粘性・透水係数同時測定システムを開発し、地殻流体の流動特性の本質的な理解に繋げる。