日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] Eveningポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-GE 地質環境・土壌環境

[A-GE28] 地質媒体における物質移動,物質循環と環境評価

2019年5月30日(木) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:小島 悠揮(岐阜大学工学部)、濱本 昌一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)、斎藤 広隆(東京農工大学大学院農学研究院)、森 也寸志(岡山大学大学院環境生命科学研究科)

[AGE28-P04] 地殻流体の流動特性の高精度評価に向けた粘性・透水係数同時測定システムの開発

*村本 智也1藤田 佳孝1梶川 宏明1飯泉 英昭1井出 一徳1 (1.国立研究開発法人 産業技術総合研究所, 計量標準総合センター)

キーワード:Hagen-Poiseulleの法則、Darcyの法則、透水係数

本研究では、高精度粘性測定技術と高精度液体高圧力発生技術を組み合わせることにより、地殻内における流体の挙動を厳密に評価する為の高精度高温高圧粘性・透水係数同時測定システムを開発することを目的とする。地殻をはじめとした多孔質媒体の特徴の一つに、その内部にある複雑な幾何形状をもつ空隙を経路として流体を透過させることができるという点がある。つまり、多孔質媒体は水理学的性質を有している。近年、高レベル放射性廃棄物地層処分システムの長期安定性を評価する上で、また、流体とテクトニックな岩盤の変形の関係性を明らかにする為に、対象となる岩盤の透水・物質輸送特性を詳細に把握する必要性が強調されるようになった。古くより、高圧下にあると考えられる地殻流体の流動特性を把握する為に、数多くの研究開発がなされてきたが、地殻流体の粘性の圧力依存性については見落とされがちであり、それに伴う岩石の透水係数の変化を厳密に評価した研究例は数少ない。透水係数の高精度な測定に関する計量学的視点での技術開発は今までに行われてきておらず、また、一般的に用いられているDarcyの法則の適用限界に関する計量学的な検討は行われてきていない。これらに起因して、高圧下における岩石中を流れる流体の流動状態並びに遷移挙動には不明な点が多々ある。本研究では、細管法による高精度な粘性測定で用いられるHagen-Poiseulleの法則に基づく流れ場の記述と、Darcyの法則に基づく流れ場の記述の類似性に着目して、高温高圧下における粘性・透水係数同時測定システムを開発し、地殻流体の流動特性の本質的な理解に繋げる。