日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW23] 水循環・水環境

2019年5月29日(水) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:町田 功(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、山崎 大(東京大学生産技術研究所)、林 武司(秋田大学教育文化学部)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)

[AHW23-P12] 草津白根山周辺水環境と2018年1月噴火による影響の考察

*猪狩 彬寛1小寺 浩二2浅見 和希1 (1.法政大・院、2.法政大・地理)

キーワード:草津白根山、火山、水環境、噴火、温泉

Ⅰ はじめに

 2018年1月23日に本白根山で噴火(水蒸気爆発)が発生した。放出された火山灰は北東方向に向かって流れ周辺の積雪中にトラップされた。この地域では噴火前の2017年5月から周辺水環境での水質調査を開始しており、噴火前後の水質への影響を検討するとともに、降灰した火山灰の溶出成分と水環境への影響を検討した。また、草津白根山周辺河川水における水質形成要因の考察を試みた。

Ⅱ 研究方法

 2017年5月から2019年3月にかけて21回の現地調査を行った。調査地点は山体の東側と南側を流れる河川を中心に、約45地点ほどである。現地で気温、水温、pH、RpH、EC、流量を測定し、採取した試料は主要溶存成分分析を行った。2018年2月には東麓で火山灰の堆積状況・降灰量の調査とサンプリングを行い、実験室での溶出実験を進めている。降灰域を含む流域で河川水以外にも降水や積雪、温泉水の現地調査とサンプリングを行った。

Ⅲ 結果・考察

 山体の東側を流れる白砂川では、温泉排水や火山活動の影響を受けた地下水・河川水が支流から流入している。EC値の変動が大きい地点もあり、湯川・谷沢川・大沢川といった酸性河川の中和水を貯める品木ダムの放流・導水に影響されている。最下流地点直上には品木ダムからの導水排出口があり、pH値が引き下げられている。西麓と南麓の流域には万座温泉や硫黄廃鉱が立地し、河川水はその排水の影響を強く受ける。上流部に硫黄鉱跡がある厳洞沢ではpH:2.0、EC:6000μS/cm前後の水質を示す。