日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW24] 同位体水文学 2019

2019年5月27日(月) 09:00 〜 10:30 105 (1F)

コンビーナ:安原 正也(立正大学地球環境科学部)、風早 康平(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、大沢 信二(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設(別府))、浅井 和由(株式会社 地球科学研究所)、座長:安原 正也(立正大学地球環境科学部)、森川 徳敏(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)

09:00 〜 09:30

[AHW24-01] 安定同位体比を用いた植物による硝酸態窒素利用の実体解明

★招待講演

*木庭 啓介1 (1.京都大学生態学研究センター)

キーワード:安定同位体、硝酸態窒素

軽元素の安定同位体比は物質循環解析に強力なツールではあるものの、同位体分別というブラックボックスのために、その解析は多くの場合、半定量的なものにとどまってします。残念なことではあるが、一方でたとえば窒素循環のようにプールの回転速度が早く、プールの濃度変動からフラックスを類推することが困難である循環系では、半定量的な解析であるとしても、その開先に寄ってこれまで考えられてこなかったフラックスの重要性を明らかにするというような形で、循環系の理解を大きくすすめることができる可能性がある。本発表では通常のプール情報からでは見逃しがちなフラックスの重要性を明らかにした例としてアラスカツンドラ生態系での硝酸態窒素についての報告を行う。植物体内に残された微量の硝酸態窒素の窒素酸素安定同位体比の測定から、ツンドラ土壌ではほとんど検出されない硝酸態窒素が実は生産され消費されているという、「見えなかった」硝酸態窒素に関するフラックスをどのように追跡したかについて発表させていただく。