日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS09] 海洋混合学:物質循環・気候・生態系の維持と長周期変動の解明

2019年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:安田 一郎(東京大学大気海洋研究所)、日比谷 紀之(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、西岡 純(北海道大学低温科学研究所)、伊藤 進一(東京大学大気海洋研究所)

[AOS09-P20] 安定・不安定成層した表層海洋中での圧力-歪み相関のパラメタリゼーション

*牛島 悠介1吉川 裕1 (1.京都大学大学院理学研究科)

キーワード:圧力-歪み相関のパラメタリゼーション、乱流クロージャーモデル、海洋表層乱流

海洋表層の乱流は運動量や熱,栄養塩の鉛直混合を担うため,大気海洋相互作用や物質輸送などに重要であるが(e.g., Roxy et al. 2013, Obata et al. 1996),海洋大循環モデルのような大きなモデルの数値実験では格子間隔が大きく,小規模な海洋表層の乱流を直接再現することはできない。そのため,乱流完結モデルに基づいて,乱流による鉛直混合を精度良く表現するパラメタリゼーションスキームの開発が求められている。本研究では,近年流体力学の分野でその影響の大きさが指摘されている(Jakilic and Hanjalic 2013)圧力-歪み相関に着目する。これまでの海洋や大気の2次の乱流完結モデル(eg. Mellor and Yamada 1982; Canuto et al. 2001; Nakanishi and Niino 2009)ではRotta (1951), Gibson and Launder (1978), Gertski et al. (1992)などの圧力-歪み相関のパラメタリゼーションが用いられているが,Rotta (1951)のパラメタリゼーションには大気・海洋の境界層に普遍的に存在する成層の効果が考慮されておらず,他のパラメタリゼーションにおいてもその考慮は限定的である。そこで本研究では乱流の再現性が高いLarge-eddy simulation(LES)を用いて数値実験を行い,LESで直接計算された圧力-歪み相関と従来の海洋・大気モデルでパラメタライズされている圧力-歪み相関を様々な成層の下で比較することで,従来のモデルの検証を行った。その結果,両相関は安定度(または成層)の強さに応じて系統的な差が存在することが明らかになった。さらに結果を解析したところ,安定度に関する新たなパラメータを導入することで,その系統的な差を減少させることができることを見出した。