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[AOS13-11] 常磐沖における河川流出に起源をもつ放射性セシウムの拡散
キーワード:放射性セシウム、河川水流出、東日本大震災、常磐沖
2011年の9月7日から12日にかけて(東日本大震災の発生から六ヶ月後)、常磐沖でCTD及びADCPを用いての海洋観測を実施した。同時に、表層(深度10 m)の海水を採取して、海水中に含まれる放射性セシウムの濃度を測定した(金沢大学低レベル放射能実験施設のゲルマニウム半導体検出器;リンモリブデンサン酸アンモニウム沈殿法)。その結果、表層(深度10 m)において、セシウム濃度と塩分の間には負の相関が有り、低塩域ほど放射性セシウム濃度が高かった。観測海域には三つの大きな一級河川(利根川、那珂川、久慈川)が注いでいる。特筆すべき点として、観測期間の数日前に河川上流域で驚異的な大雨が降り、その結果、例えば利根川流量は9月4日に2000 m3/sを超えたことがある。すなわち、観測された海洋表層の高濃度の放射性セシウムは、陸上から河川経由で海洋に輸送されたものと考えられる。また、そうした河川水と放射性セシウムの常磐沖での分布形態は、黒潮にも強く影響を受けていることが示された。