日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS13] 沿岸域の海洋循環と物質循環

2019年5月27日(月) 13:45 〜 15:15 102 (1F)

コンビーナ:田中 潔(東京大学)、森本 昭彦(愛媛大学)、速水 祐一(佐賀大学)、一見 和彦(香川大学瀬戸内圏研究センター)、座長:森本 昭彦速水 祐一

14:45 〜 15:00

[AOS13-11] 常磐沖における河川流出に起源をもつ放射性セシウムの拡散

*田中 潔1長尾 誠也2北出 裕二郎3仁木 将人4勝間田 高明4美山 透5 (1.東京大学、2.金沢大学、3.東京海洋大学、4.東海大学、5.海洋研究開発機構)

キーワード:放射性セシウム、河川水流出、東日本大震災、常磐沖

2011年の9月7日から12日にかけて(東日本大震災の発生から六ヶ月後)、常磐沖でCTD及びADCPを用いての海洋観測を実施した。同時に、表層(深度10 m)の海水を採取して、海水中に含まれる放射性セシウムの濃度を測定した(金沢大学低レベル放射能実験施設のゲルマニウム半導体検出器;リンモリブデンサン酸アンモニウム沈殿法)。その結果、表層(深度10 m)において、セシウム濃度と塩分の間には負の相関が有り、低塩域ほど放射性セシウム濃度が高かった。観測海域には三つの大きな一級河川(利根川、那珂川、久慈川)が注いでいる。特筆すべき点として、観測期間の数日前に河川上流域で驚異的な大雨が降り、その結果、例えば利根川流量は9月4日に2000 m3/sを超えたことがある。すなわち、観測された海洋表層の高濃度の放射性セシウムは、陸上から河川経由で海洋に輸送されたものと考えられる。また、そうした河川水と放射性セシウムの常磐沖での分布形態は、黒潮にも強く影響を受けていることが示された。