日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS13] 沿岸域の海洋循環と物質循環

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:田中 潔(東京大学)、森本 昭彦(愛媛大学)、速水 祐一(佐賀大学)、一見 和彦(香川大学瀬戸内圏研究センター)

[AOS13-P02] 伊勢湾,三河湾の表層堆積物の粒度と炭素,窒素,硫黄濃度分布からみた海底環境

*天野 敦子1清家 弘治1 (1.産業技術総合研究所)

キーワード:粒度、CNS元素、海底表層堆積物

伊勢湾・三河湾内の表層堆積物の粒度,全有機炭素(TOC),全窒素(TN),全硫黄(TS)濃度,全有機炭素全窒素量比(C/N)分布を明らかにし,海底環境について検討した.本研究では,2018年9月にミニマルチプルコアラーを用いて採取された18試料と,2004年12月にグラブ採泥器によって採取された26試料の合計44試料を用いて分析を行った.伊勢湾,三河湾の粒度は湾奥から中央部では6-8φで,中央部から湾口にかけては3-4φと粗くなる.TOC,TN,TS濃度はシルトが堆積する湾奥から湾中央部にかけては相対的に高い値を示し,湾口付近では急激に減少する.またC/N比は本調査海域の大部分で8-9を示すが,伊勢湾の湾奥,木曽川河口沖で10以上の値を示す.粒度分布は湾奥から湾中央にかけての海域はシルトが堆積する停滞的な水利環境であるが,湾口や海峡付近では潮汐流の増加によって砂質堆積物が堆積することを示す.元素分布は,停滞的なために湾口~湾中央部では有機物は堆積しやすく,貧酸素状態であることを示唆する.また,有機物起源の指標となるC/N比は湾内の大部分は海洋プランクトン起源の有機物が堆積するが,木曽川河口沖では陸性植物が多くなることを示す.