日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS15] 陸域と海洋をつなぐ水循環の素過程

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 102 (1F)

コンビーナ:木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、山崎 大(東京大学生産技術研究所)、山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、三寺 史夫(北海道大学低温科学研究所)、座長:木田 新一郎(九州大学応用力学研究所)、三寺 史夫(北海道大学低温科学研究所)、山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)

15:30 〜 15:45

[AOS15-01] 静止・極軌道衛星データを使った沿岸域の流れと水質推定研究の最前線

★招待講演

*作野 裕司1 (1.広島大学大学院工学研究科)

キーワード:衛星、流れ、水質

広域の流速や水質分布を高解像度で,連続的に推定することは,河川と海洋との接点で発生する現象を解明するために,極めて重要である.近年,衛星リモートセンシングはそのような現象を把握する強力なツールとして期待される.本発表では,最初に海面水温(SST)を10分間隔で観測する静止気象衛星「ひまわり8号」データを使った流速推定の事例が紹介される.研究対象地域のインドネシアのロンボク海峡南部において,連続したSST画像に画像相関法を適用することによって0.5m/s程度の強い流速分布が検出された.このような手法は広い海峡の流速分布を低コストで測定できるため,顕著な水温差がある海域では特に有効である.一方,2018年7月には西日本豪雨が発生し,陸上から流出した大量の土砂は, 瀬戸内海などに流出した.その結果,養殖用のカキ筏が壊されたり,大量に流出した栄養塩が原因と考えられる赤潮被害が発生した.このような大きな出水の様子は,Landsat-8やSentinel-2と呼ばれる高分解能地球観測衛星(10~30m)やGCOM-C (250m)と呼ばれる中分解能地球観測衛星(250m)極軌道衛星データによってモニタリングされた.極軌道衛星は静止衛星と比べて観測頻度は低いが,解像度が良いため河川からの土砂流出分布や赤潮分布を詳細に可視化できる利点がある.今後,このような静止・極軌道衛星データ,実測データ,および数値モデルなどの技術を組み合わせれば,外洋と河川とをつなぐ沿岸域の環境をさらに迅速かつ詳細にモニタリングできるようになるだろう.