[A-OS16] 海洋化学・生物学

[AOS16-05] 親潮域中層における顕著なケイ酸増加トレンドの要因について

*小埜 恒夫¹ (1.国立研究開発法人　水産研究・教育機構)

キーワード：長期トレンド、ケイ素、親潮、オホーツク海

親潮域の中層では溶存酸素濃度の減少とともに栄養塩濃度の増加が確認されているが、ケイ酸についてはその増加トレンドが他の栄養塩に比べて顕著に大きい事が確認されている（Whitney et al., 2013）。このケイ素の増加トレンドは単純な太平洋域におけるベンチレーションの減少だけでは説明できないほどに大きいが、ケイ素にだけこのような増加が引き起こされる理由については長い間不明のままであった。
本講演では、近年のオホーツク海における顕著な昇温によって、オホーツク中層域の等密度面が下方に移動することにより、親潮域中層の任意の等密度面にオホーツク海から等密度面混合によって供給されるケイ酸塩濃度が急激に増加する効果を考慮することで、観測されているケイ素の特異的な増加トレンドが説明できる事を示す。