日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS17] 黒潮大蛇行

2019年5月28日(火) 10:45 〜 12:15 106 (1F)

コンビーナ:美山 透(国立研究開発法人海洋研究開発機構・アプリケーションラボ)、碓氷 典久(気象研究所)、瀬藤 聡(国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所)、座長:美山 透瀬藤 聡碓氷 典久

11:45 〜 12:00

[AOS17-05] 大規模アンサンブル実験による黒潮流路の確率予測

*青木 邦弘1宮澤 泰正1日原 勉1 (1.国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

キーワード:アンサンブル予測、データ同化、クラスタリング

数ヶ月先の黒潮大蛇行の発生の有無,発生確率,および,大蛇行強度は,黒潮流路変動の確率予測における基本的推定量である。これらは,それぞれ,黒潮流路の従う確率分布の多峰性の有無,大蛇行に対応する分布の確率,および,平均値と分散の組み,の推定問題と捉えることができる。

 本研究では,この問題がガウス混合分布モデルの適用で一挙に解決できることを示す。同モデルは,教師なし機械学習によるクラスタリング手法で,任意の確率分布を複数の分布に分解し,各分布の平均値,分散,および,混合比(各分布が持つ重み)を推定する。これら3つの量は,それぞれ,系に特徴的なパターン(あるいは強度),その不確定性,および,パターンの発生確率に対応する。さらに,分布の多峰性の有無は情報量基準を用いて判定できる。
 同手法を黒潮流路の確率予測に適用するため,黒潮域を対象とする数値海洋モデルを用いた80メンバーによるアンサンブル予測実験を行う。本実験では,現在継続中の大蛇行が起きる直前の期間に注目し,各メンバーの数値解に対して,アンサンブルカルマンフィルター(LETKF)でデータ同化を行った後に4ヶ月間の予測を行う。予測開始後のおよそ2ヶ月間は全てのメンバーが非大蛇行流路を取るが,その後,大蛇行流路を取るメンバーが現れる傾向がある。発表時には,この予測値への混合分布モデルの具体的な適用方法と,適用結果の詳細を示す。