日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS17] 黒潮大蛇行

2019年5月28日(火) 10:45 〜 12:15 106 (1F)

コンビーナ:美山 透(国立研究開発法人海洋研究開発機構・アプリケーションラボ)、碓氷 典久(気象研究所)、瀬藤 聡(国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所)、座長:美山 透瀬藤 聡碓氷 典久

12:00 〜 12:15

[AOS17-06] 2017年黒潮大蛇行の長期予測

*碓氷 典久1広瀬 成章1坂本 圭1藤井 陽介1高野 洋雄1 (1.気象研究所)

キーワード:黒潮大蛇行、黒潮流量、長期予測

日本南岸の黒潮は2017年8月末に12年ぶりに大蛇行流路へと遷移し、その後1年以上大蛇行が持続している。大蛇行に伴う、日本南岸の海洋環境の変化は、漁業、海運、及び天候等に大きな影響を及ぼすことが指摘されており、大蛇行の今後の見通しに大きな関心が寄せられている。本発表では、渦解像モデルによる長期予測実験の結果をもとに、2017年の大蛇行の今後の見通しについて議論する。実験設定としては、大蛇行発生から約1年後の2018年8月末まで、データ同化により、現実の大蛇行をモデル内に再現し、2018年8月28日以降、大気フォーシングを1975年から2014年の各年のものに置き換えて、全40ケースのアンサンブル計算を行った。各ケースとも3年後の年末まで計算を実施した。なお、大気フォーシングデータとしては、JRA55をベースに海洋モデル駆動用に調整を施したデータセットJRA55-doを用いた。予測開始後1年半(2020年2月に相当)程度までは、ほぼ全てのケースで大蛇行が安定して持続した。その後は、メンバー間でのばらつきが大きくなり、大蛇行が持続するケースと大蛇行が解消するケースに分かれた。先行研究により、大蛇行の持続期間は、日本南岸の黒潮流量に強く依存することが指揮されており、上記結果は、各アンサンブルメンバーに与えた風の違いによって概ね説明がつきそうである。発表時には、2019年5月の実況について予測結果の妥当性を議論すると共に、実験結果についてより詳細に紹介する。