日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-BC 生物地球化学

[B-BC03] 生命-水-鉱物-大気相互作用

2019年5月28日(火) 13:45 〜 15:15 201A (2F)

コンビーナ:掛川 武(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、横山 正(広島大学大学院総合科学研究科)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)、白石 史人(広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻)、座長:横山 正福士 圭介

15:00 〜 15:15

[BBC03-06] 古原生代ガンフリント層における含微化石堆積岩の鉱物学的および地球化学的研究

*笹木 晃平1石田 章純1掛川 武1 (1.東北大学大学院理学研究科地学専攻)

キーワード:ガンフリント層、微化石、ストロマトライト

古原生代ガンフリント層微化石群の情報は太古代および初期原生代の微化石研究のモデルとなっているが, いまだにガンフリント層堆積場の表層環境と一次生産者に関して統一した見解はない. 本研究では, 19億年前のカナダ・ガンフリント層を対象に, 産状の異なる微化石を含む堆積岩において, それぞれ地質調査・鉱物観察・全岩化学組成分析および微化石の詳細な形態観察と局所分析を行った. シュライバー地域では, シアノバクテリアのコロニーおよび休眠細胞, 細胞膜上に放射状の突起構造を有するような真核生物であることを示唆する微化石が新たに発見された. また微化石局所分析から, 金属元素および有機物の軽元素の分布が明らかとなり, 特にNanoSIMSでの微化石のその場分析により膜の微細構造や生物活動に由来する可能性を持つ不均一な元素分布を初めて見出した. これらによってガンフリント微生物群は, 今まで考えられていた以上に多様性があり, 当時の微生物生態系がより詳細に明らかになった. ミンクマウンテン地域では, 地質調査や鉱物観察に加え, ストロマトライトに伴う微化石の形態から総合的に判断し, 局所的浅海における鉄酸化菌主体の生態系が発達していたことが示唆された. また, 同一堆積物は鉄や粘土鉱物に富んでおり, これらは浅海における還元的熱水活動にもたらされ, この地域における局所的な生態系形成に寄与した可能性が示された.