日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS05] 成層圏・対流圏過程とその気候への影響

2019年5月29日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:河谷 芳雄(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、渡辺 真吾(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、関谷 高志(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、佐藤 薫(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)

[AAS05-P02] 海岸に設置した人工対流と人工降雨による地球冷却化システム

*村上 英世1 (1.イイエコケンキュウショ)

キーワード:地球冷却化、人工対流、潜熱、人工降雨

近年、地球は温暖化しつつある。太陽は、地球に太陽光エネルギーを放射して、地球を暖めている。地球は、太陽光の一部を宇宙に反射放出し、かつ潜熱を含む赤外線等を宇宙に放射して、冷却している。地球が太陽から受けるエネルギーは、地球が放出しているエネルギーとほぼ同じである。地球が受信している太陽光エネルギーは一定値である。一方、増加したCO2等の温室効果ガスが、大気の放射する熱エネルギーに対して大気が宇宙へ放出するエネルギーの比率を下げている。そのため、地球平均温度は増加しつつあり、それに起因する異常気象が多発している。多くの人々が大気中のCO2 蓄積量を減少させて、地球平均温度を減少させるために研究している。しかし、大気中のCO2 蓄積量を減少させるための有効なシステムは実用化されていない。

この論文は、地球冷却化システムを研究している。地球冷却化システムは人工対流装置(II型)と制御センタから構成される。地球冷却化システムは、例え大気に多量の温室効果ガスを含んで平均温度が2℃上昇したとしても、地球平均温度の増加を打ち消して、地球を冷却できる。

人工対流装置は大きな温室に似ていて、屋根、壁、大気入口、大気出口とヒーターで構成される。人工対流装置は、熱帯の海岸に設置される。海岸は、高温多湿(35℃, 26.2g kg-1)で、日中は海風が吹いている。その屋根と壁は、透明なプラスチックシートで作られており、屋根の下にはヒーター(黒いシート)が装備されている。ヒーターは、屋根の下で太陽光エネルギーを受けて、太陽光エネルギーを熱エネルギー変換して大気入口から入った大気を熱して、大気出口から熱した大気を放出する。熱された大気は、周囲の大気に比べて軽く、対流圏に押し上げられる。多量の水蒸気を含んだ熱された大気は、対流圏で冷やされる。そこで、水蒸気は冷やされ、対流圏で雨か雪に人工的に作られる。人工的な雨か雪は、地上に降ってくる。結果として、人工対流装置は、加熱された大気を海岸の表面から対流圏に上昇させて、かつ高高度の大気を伴った人工雨もしくは雪を下に運ぶことで、海岸の表面と対流圏との間に人工的に対流を構築している。持ち上げられた大気は、海岸の表面の周囲の水蒸気を含んだ大気の潜熱と顕熱を宇宙に放出し、そして高高度の大気を伴った人工雨もしくは雪も、顕熱と溶解熱を周囲の大気から吸収し、大地の表面を冷却する。更に、暑く、雨量が少ない地域では、人工降雨の半分の雨量は、植物に吸収される。植物は、雨水を蒸発させて、潜熱を周囲の大気から吸収する。そのため、地球は、植物によっても冷却される。

この論文は、人工対流と人工降雨を用いた地球冷却化システムを分析しており、平均温度上昇が地球冷却化システムによって防止できることを示している。大規模な実験によって地球冷却化システムの特性を確認することが望まれる。