日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG37] 北極域の科学

2019年5月30日(木) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:漢那 直也(北海道大学北極域研究センター)、庭野 匡思(気象研究所)、中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、鄭 峻介(北海道大学 北極域研究センター)

[ACG37-P14] グリーンランド北西部・Bowdoinフィヨルドの堆積物を用いた古環境復元の可能性

*安藤 卓人1漢那 直也1浅地 泉2,3藤支 良貴2,3杉山 慎1,2,3 (1.北海道大学 北極域研究センター、2.北海道大学 低温科学研究所、3.北海道大学大学院 地球環境科学院)

キーワード:グリーンランド、氷河性堆積物、バイオマーカー、有機質微化石、海洋基礎生産者、堆積物コア

北極域における気温変動の増幅効果が指摘されるなか,温暖化に伴うグリーンランド氷床の融解と海氷の縮小が注目されている。グリーランド北部の氷河の多くは,末端が海洋と接するカービング氷河であり,その変動の履歴を復元することは,今後の気候変動に対する氷床の応答を予測する上で重要である。カービング氷河末端周辺の海洋は,冬季には海氷に覆われ,夏季の氷床融解に伴って湧昇が発生するため,季節変化が明瞭である。特に夏季の湧昇時には氷河性堆積物が巻き上げられて懸濁すると同時に,海洋表層へと栄養塩が供給されるため,氷河末端周辺で生物生産が増大する。近年になって,現在の氷河末端の海洋環境が明らかになってきた。しかし,将来予測をする上では,過去における気候変動に対する海洋環境や堆積環境の応答を理解する必要がある。北極域では古気候アーカイブとして湖底堆積物やアイスコアを用いた環境復元が多く行われているが,直接的にフィヨルド堆積物を用いた研究はそれらに比べると少ない。本発表では,グリーンランド北西部Bowdoinフィヨルドで2018年7月に採取した表層堆積物と堆積物コア試料についての紹介と堆積プロセスや海洋生態系に関する予察的な研究成果を報告する。