日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG40] 沿岸海洋生態系─1.水循環と陸海相互作用

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:藤井 賢彦(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、山田 誠(龍谷大学経済学部)、小路 淳(東京大学大気海洋研究所)、杉本 亮(福井県立大学海洋生物資源学部)

[ACG40-P02] 河川形状の違いが温泉排水流入河川による沿岸域への熱供給に与える影響について

*山田 誠1三島 壮智2大沢 信二2 (1.龍谷大学経済学部、2.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)

キーワード:温泉排水、温泉熱、河川水温

大分県別府市では、河川に温泉排水が流入し、河川生態系へ影響を与えていることが明らかとなっている。温泉排水の流入している河川の河口部では、温泉排水由来の熱の影響で、本来生息していない熱帯性の外来魚が多く生息しており、河川に生息する生物への熱的な影響が強いことがわかっている。しかし、すべての温泉排水が流入する河川で、河口部の生物に熱的な影響が見られるわけではなく、温泉排水が流入しているにも関わらず、その影響が少ない河川も存在する。別府市の河川は、火山性の扇状地を流下しており、河川の長さは比較的短いが、河川ごとに形状が異なる。また、河川によっては、コンクリート3面ばりのものもあり、川の状態も河川によって大きく異なる。別府では、温泉排水は主に、河川中流部で流入するため、河口域へ到達する間の河川状況の違いで、沿岸へ供給される熱の程度が異なってくることが予想される。そこで本研究では、沿岸部への温泉排水由来の熱の供給が、何よって影響を受けているのかを明らかにする目的で、温泉排水が顕著に流入している2つの河川(平田川・春木川)を比較した。
両河川とも、標高200m前後の地域で温泉排水が流入し、3km程度流下して河口部へ到達するが、河口部での水温は、年間を通じて春木川の方が5℃以上低い。また、一部で自然状態が維持されている春木川と比べて、平田川はほとんどすべての流程がコンクリートで覆われている。発表では、このような違いに加え、傾斜や直線性などの地形的な違い、流量の違いなどを俯瞰的に比較し、沿岸部へ供給される河川水の温度の違いが生じる理由について考察を行う。