[ACG43-P07] CMIP5大気データを用いた日本近海の高解像度海洋将来予測データセットの構築
キーワード:海洋将来予測シミュレーション、ダウンスケーリング、CMIP5、SI-CAT
SI-CAT(気候変動適応技術社会実装プログラム:文部科学省)では、日本の地方自治体等の気候変動適応策策定に資する海洋近未来予測データベースの作成をサブテーマの1つとしている。その目的のため、我々は、水平解像度約10kmの北太平洋域モデル(SICAT10)を開発し、これを用いて、CMIP5から複数モデル(4つ)・複数予測シナリオ(historical, RCP8.5, RCP2.6)の大気データを海面外力として1980年~2100年に渡る海洋シミュレーションを実施することで、合計800年におよぶ高解像度海洋アンサンブル将来予測データセットを構築した。また、SI-CATにおけるニーズを踏まえてケースや期間を選定し、別途開発した水平解像度約2kmの日本近海ダウンスケーリング(DS)モデル(SICAT02)を用いたシミュレーションを実施することで、日本周辺海域でさらに高解像度化した海洋将来予測データセットを構築中である。SICAT10モデルは海洋再解析データFORAとスペックをある程度共通化してあり、また、大気再解析データJRA55を用いたSICAT10による現在気候再現データおよびFORAとJRA55を用いたSICAT02によるダウンスケーリングデータを参照データとして合わせて構築した。これらの現在気候再現の参照データも加えた相互比較・検証を可能としている点は、本海洋将来予測データセットの特徴の1つである。各データセットにおいて検証を行い、各CMIP5大気場の気候変化(温暖化等)に対応した海洋場の応答(北西太平洋域における海面水温や海面水位の上昇など)を確認するとともに、使用しているCMIP5モデル間におけるそれらの応答の違い(ばらつき)も見られた。ダウンスケーリング結果においては、各親モデルの気候変化の特徴を保ちつつ(ドリフト等なく)高解像度化できていることを確認した。各データセットや検証結果の詳細は講演時に報告する。