[AHW22-P12] 琉球石灰岩地域における土壌・地下水中の各種リン酸塩の動態に関する研究
キーワード:リン、31P核磁気共鳴装置、地下水
水環境中でのリンは,溶存態,粒子状,有機態,無機態など様々な形態・サイズで存在しているが,地下水環境中では不明な点が多い.本研究では,従来リン酸塩の分析に使われてきたリブデンブルー法に加えて,誘導結合プラズマ発光分析(ICP-AES)や31P核磁気共鳴分光法(31P-NMR)を組み合わせることにより,琉球石灰岩地域における土壌・地下水中の各種リン酸塩の動態の把握を試みた.
琉球石灰岩が分布する沖縄本島南部地域を調査地域とし,2017年8月~2018年8月にかけて月1回の頻度で定期地下水調査を実施した.現地測定項目として,pH,電気伝導度,酸化還元電位,溶存酸素,アルカリ度を選定した.室内分析項目として,主要イオン,地下水中の浮遊懸濁物質(SS),各種リン酸塩を選定した.各種リン酸塩の分析には比色法リン(Col-P),ICPリン(ICP-P),全リン(T-P)を選定し,形態分析には核磁気共鳴装置(31P-NMR)を用いた.
地下水中の溶存態リンの空間分布を確認するため,Col-PとICP-P を比較したところ,Col-PよりICP-Pが1.06~49.24倍高くなった.分析方法の違いから,ICP-Pはフィルターを通過した微小な粒子状リンや有機態リンも測定していると推測され,地下水中の溶存態リンには,オルトリン酸以外の形態のリン酸塩の存在量が多い事が示唆された.SSとT-PとICP-Pの差から求めた粒子状リン(P-P)との相関関係を確認したところ,両者の間に強い正の相関(相関係数:0.78)が確認された.SSにはオルトリン酸をはじめ多様な形態のリン酸塩が吸着しているものと考えられる.調査期間中における地下水中の溶存態リン(Col-P,ICP-P)の季節変動特性を把握する目的で,全測定項目との相関係数を求めたところ,Col-Pと水温との間には高い負の相関関係が存在していることが明らかとなった.Col-Pの経時変化に着目すると,地下水の水温が上昇に伴い濃度の減少がみられ,水温の下降に伴い濃度が上昇する傾向がみられた.31P-NMRを用いた土壌及びSSのリン酸塩の形態別分析では,オルトリン酸のほかに,ピロリン酸や,ピロリン酸エステル,オルトリン酸モノエステルなどの存在を確認する事が出来た.確認されたオルトリン酸以外の重合態や有機態のリン酸塩は,植物由来や,微生物活性による合成や有機態リンの微生物による分解が起源だと推察される.
琉球石灰岩が分布する沖縄本島南部地域を調査地域とし,2017年8月~2018年8月にかけて月1回の頻度で定期地下水調査を実施した.現地測定項目として,pH,電気伝導度,酸化還元電位,溶存酸素,アルカリ度を選定した.室内分析項目として,主要イオン,地下水中の浮遊懸濁物質(SS),各種リン酸塩を選定した.各種リン酸塩の分析には比色法リン(Col-P),ICPリン(ICP-P),全リン(T-P)を選定し,形態分析には核磁気共鳴装置(31P-NMR)を用いた.
地下水中の溶存態リンの空間分布を確認するため,Col-PとICP-P を比較したところ,Col-PよりICP-Pが1.06~49.24倍高くなった.分析方法の違いから,ICP-Pはフィルターを通過した微小な粒子状リンや有機態リンも測定していると推測され,地下水中の溶存態リンには,オルトリン酸以外の形態のリン酸塩の存在量が多い事が示唆された.SSとT-PとICP-Pの差から求めた粒子状リン(P-P)との相関関係を確認したところ,両者の間に強い正の相関(相関係数:0.78)が確認された.SSにはオルトリン酸をはじめ多様な形態のリン酸塩が吸着しているものと考えられる.調査期間中における地下水中の溶存態リン(Col-P,ICP-P)の季節変動特性を把握する目的で,全測定項目との相関係数を求めたところ,Col-Pと水温との間には高い負の相関関係が存在していることが明らかとなった.Col-Pの経時変化に着目すると,地下水の水温が上昇に伴い濃度の減少がみられ,水温の下降に伴い濃度が上昇する傾向がみられた.31P-NMRを用いた土壌及びSSのリン酸塩の形態別分析では,オルトリン酸のほかに,ピロリン酸や,ピロリン酸エステル,オルトリン酸モノエステルなどの存在を確認する事が出来た.確認されたオルトリン酸以外の重合態や有機態のリン酸塩は,植物由来や,微生物活性による合成や有機態リンの微生物による分解が起源だと推察される.