日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS17] 黒潮大蛇行

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:美山 透(国立研究開発法人海洋研究開発機構・アプリケーションラボ)、碓氷 典久(気象研究所)、瀬藤 聡(国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所)

[AOS17-P01] 黒潮流軸に沿う相対渦度の時空間的変化

*平野 雄也1植原 量行1 (1.東海大学大学院地球環境科学研究科)

キーワード:黒潮、流路遷移

黒潮は北太平洋亜熱帯循環の西岸境界流であり,東シナ海を北上した後,本州南岸を沿うように東方へ流れる.本州南岸の黒潮は,直進流路状態と蛇行流路状態の二峰性流路を有する事が知られ,それぞれ,非大蛇行流路(non-large-meander path),大蛇行流路 (large-meander path) と呼ばれている (Kawabe, 1995).このような黒潮流路の遷移は周辺の海洋構造 (水温,塩分,海流) を大きく変化させ,海洋の生物生産に多大な影響を与える事が予測される (例えば,山田・久野,2007).また,黒潮の流路変化は,大気へ局所的な影響をもたらす事が示唆されている事から (Nakamura et al.,2012),大気海洋相互作用の研究においても重要な研究課題の一つである.

黒潮流路の遷移過程について,これまで多くの研究が行われてきた.一般的に,非大蛇行流路から大蛇行流路への遷移は九州南東沖に発生する 「黒潮小蛇行」の東方伝搬に起因することが知られているが (例えば,Solomon,1978;関根,1895;川辺,2003),全ての小蛇行が大蛇行の形成に至るわけではない.多くの場合,小蛇行の伝搬が九州南東沖から紀伊半島まで到達するまでに,蛇行の振幅は減少する.本研究では,AVISO (Archiving Validation and Interpretation of Satellite Oceanographic data) の絶対海面力学高度データを用いて,黒潮流軸上に沿った相対渦度の変化を調べることにより,本州南岸において黒潮を離接岸させる経緯について詳細に記述していくことを目的とする.ここで,絶対海面力学高度データの時間解像度は weekly mean,空間解像度は 0.25° × 0.25° 格子,解析期間は1993 年 1 月 4 日〜2018 年 6 月 4 日までの 26 年 6 ヶ月の期間である.加えて,本州南岸に定常的に存在する四国沖再循環の強度,再循環の中心位置の変化についても着目する.