日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02] 地球惑星科学のアウトリーチ

2019年5月26日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、小森 次郎(帝京平成大学)、長谷川 直子(お茶の水女子大学)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)

[G02-P01] 砂つぶの地球 -火山・地震の変動帯を砂から読む

*萩谷 宏1 (1.東京都市大学知識工学部自然科学科)

キーワード:砂、変動帯、火山、中等教育

海岸砂や河川砂など、砂は身近な存在でありながら、砂の粒子を拡大して見るということは、日常においても学校教育においてもほとんどなされていない。砂の粒子の一粒ずつについて、鉱物種や岩石片の種類を識別し、あるいは粒子の形状を観察することで、その土地がどのような地殻の性質を持ち、またどんな気候条件にあったのか、急峻な地形なのか平坦な大陸なのか、様々な情報を得ることができる。自分の住む土地の砂がどんな組成であるかを知ることは、土地の性格を知る第一歩になり得る。火山灰鉱物を多く含む砂、スコリアや軽石片を多く含む砂の分布は、火山と密接に結びついている。また、浸食が早く風化が充分に進まないまま供給される砂は、急速な隆起を反映し、断層活動や地殻の変形の進行を暗示する。これらは日本の砂の一般的な特徴である。
砂の粒子識別には特別な訓練は必要ないが、石英、長石類、輝石類など、造岩鉱物の特徴の理解が不可欠であり、火山灰鉱物の洗い出しなどを授業で扱うことがある中等教育での展開が無理がないものと思われる。粒子組成を厳密に出そうとすると、樹脂固定した砂の薄片の観察やEPMA等の機器分析が必要となるが、無色鉱物と有色鉱物、岩石片などの分け方では充分に砂の違いを識別可能であり、中学生・高校生でもそれほどの困難はない。
世界各地の、特に安定大陸の砂と比較して日本の砂を観察することは、変動帯としての日本の特性を理解するのに端的でわかりやすい材料となり得る。自分の住む土地の特性を知ることは、防災教育の上での一番の基礎である。砂を見て、土地の成り立ちを読むことを広めたい。そのためには、学校教育での活用方法を提示し教育現場に教材として提供することを進めたい。また大学・博物館等を通じて、各地の砂を標本として確保し蓄積すると同時に、それらのデータの公開・普及を進めていくことが望ましい。