日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS09] 地すべりおよび関連現象

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、王 功輝(京都大学防災研究所)、今泉 文寿(静岡大学農学部)

[HDS09-P13] 浸透力とポアソン比が斜面安定に与える影響

*福井 宏和1寺嶋 智巳2 (1.京都大学理学研究科、2.京都大学防災研究所)

キーワード:プロセスベース、浸透力、ポアソン比、表層崩壊、砂質模型斜面

豪雨時に発生する表層崩壊のタイミングを正確に予測するには、地中を流動する浸透流の向きと大きさ、及び土圧を考慮しなければいけない。本研究では、砂質模型斜面(全長 9m、幅 1m、高さ約 4m)に人工降雨(80mm/h)を降らせ、埋設した合計30個のテンシオメータによって間隙水圧を測定することによって、動水勾配から土層にはたらく浸透力の向きと大きさを計算するとともに、土圧としてポアソン比を考慮することによって、従来の極限平衡法による斜面安定解析を改良した。その結果、計算結果と実験結果がおおむね一致することがわかった。この計算結果は、各種応力およびモーメントのつり合いを考慮するスペンサー法による計算結果に比べて、今回の実験による崩壊の発生時刻に近づいた値を導き出しており、崩壊発生プロセスをより正確に表現できる可能性があることがわかった。このことから、今後、野外観測や原寸大の模型斜面を用いた実験等により、崩壊発生に関与する重大な要因としての斜面土層にはたらく浸透力と土圧の役割を検証していく必要がある。