[HDS14-P07] 2018年インドネシア スラウェシ島の地震によって発生した大規模流動化現象
キーワード:大規模流動化現象、衛星画像、地震、SPOT-7、Pleiades、インドネシア
2018年9月28日にインドネシアのSulawesi島で発生した地震は、地震の規模がMw7.5、震源の深さは20km(USGS,2018)であった。Sulawesi島にあるPalu市街地の西側、山地と平野の境界にはPalu-Koro断層という活断層が分布している。干渉SAR解析結果によれば、このPalu-Koro断層に沿って南北の走向を持つ、地震はこの活断層が活動したものであると考えられる。筆者らは、地震後に撮影された光学衛星画像を入手して観察を行った。光学衛星画像から読み取れる現象について検討した結果を報告する。 光学衛星画像は地震直後の9月30日に撮影されたPleiadesによる50cm解像度の画像、および10月17日に撮影されたSPOT-7による1.5m解像度の画像を用いた。この衛星画像にJAXA(2018)から無償公開されているALOS World 3D - 30m(AW3D30)をもとに生成した5m等高線を重畳して検討を行った。Palu市街地はPalu川の河口部付近の平野に位置する。平野の西側にはおおよそ南北走向でPalu-Koro断層が分布するために比較的直線状の山地・平野境界として見えるが、山地から平野に注ぐ河川沿いには扇状地が発達している。平野東側の山地と平野の境界は入り組んでおり、山地からの流れ出る河川には比較的大きな扇状地が連続して発達し、緩やかな傾斜を持って平野と接する。平野部もPalu川に向かってごく緩やかに傾斜していることが等高線から確認できる。
地震後に報道されたところによれば、この地震によって、Palu周辺の複数の地点で、ほぼ平坦な地面が側方に大きく流動化する現象が発生し、大きな被害をもたらしたとのことである。衛星画像からも、これらの現象が発生している状況が、少なくともPalu市街地の東側に2箇所、西側に1箇所確認できる。市街地の東側で空港の南側に位置するPetobo地区では幅約1km長さ約2.5kmの範囲で流動化現象が発生し、流動化現象が発生した範囲の上部側では褐色の土砂がむき出しになり、下部側には土砂が押し寄せて形成した縄状構造が確認できる。Petobo地区の約5km南側、Jono Oge地区においても大規模な流動化現象が確認できる。上端の幅は約1kmで下側に行くほど幅が狭くなる。流動化した地面はかなり緩い状態で移動したようで、下端部付近では土石流が流下したように耕作地の上に薄く褐色土砂を載せているように見える。これらPetobo地区とJono Oge地区の流動化現象の上端は、扇状地末端の傾斜変換線付近で発生し、ほぼ同じ標高である。扇状地で伏流していた地下水が豊富に地表付近に分布している地点であると推定される。Palu市街地の西側Balaroa地区で発生した流動化現象は規模がやや小さく、幅が約0.4km程度であるが、住宅が比較的密集している市街地で発生しているため、人的被害は大きいと推定された。流動化現象の末端部はPetobo地区と同様に縄状の構造が確認できる。
現地のカイリ族には「Nalodo」という「泥に吸い込まれる」という意味の液状化を示す言葉があるとのことである。このような液状化現象が過去にも繰り返し起きていたことが推定できる。
【参考文献】
JAXA(2018) ALOS全球数値地表モデル (DSM) "ALOS World 3D - 30m (AW3D30)" (第2.1版).https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/aw3d30/index_j.htm
USGS(2018)M 7.5 - 70km N of Palu, Indonesia, Earth quake Hazards Program.https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us1000h3p4/executive
地震後に報道されたところによれば、この地震によって、Palu周辺の複数の地点で、ほぼ平坦な地面が側方に大きく流動化する現象が発生し、大きな被害をもたらしたとのことである。衛星画像からも、これらの現象が発生している状況が、少なくともPalu市街地の東側に2箇所、西側に1箇所確認できる。市街地の東側で空港の南側に位置するPetobo地区では幅約1km長さ約2.5kmの範囲で流動化現象が発生し、流動化現象が発生した範囲の上部側では褐色の土砂がむき出しになり、下部側には土砂が押し寄せて形成した縄状構造が確認できる。Petobo地区の約5km南側、Jono Oge地区においても大規模な流動化現象が確認できる。上端の幅は約1kmで下側に行くほど幅が狭くなる。流動化した地面はかなり緩い状態で移動したようで、下端部付近では土石流が流下したように耕作地の上に薄く褐色土砂を載せているように見える。これらPetobo地区とJono Oge地区の流動化現象の上端は、扇状地末端の傾斜変換線付近で発生し、ほぼ同じ標高である。扇状地で伏流していた地下水が豊富に地表付近に分布している地点であると推定される。Palu市街地の西側Balaroa地区で発生した流動化現象は規模がやや小さく、幅が約0.4km程度であるが、住宅が比較的密集している市街地で発生しているため、人的被害は大きいと推定された。流動化現象の末端部はPetobo地区と同様に縄状の構造が確認できる。
現地のカイリ族には「Nalodo」という「泥に吸い込まれる」という意味の液状化を示す言葉があるとのことである。このような液状化現象が過去にも繰り返し起きていたことが推定できる。
【参考文献】
JAXA(2018) ALOS全球数値地表モデル (DSM) "ALOS World 3D - 30m (AW3D30)" (第2.1版).https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/aw3d30/index_j.htm
USGS(2018)M 7.5 - 70km N of Palu, Indonesia, Earth quake Hazards Program.https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us1000h3p4/executive