日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM04] 地形

2019年5月29日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM04-P01] DEMから算出した地形特徴量に対する自己組織化マップ(SOM)を利用した自動地形分類の試み

*伊東 快起1小田 義也1松岡 俊文2 (1.首都大学東京、2.深田地質研究所)

キーワード:数値標高モデル(DEM)、自己組織化マップ(SOM)、地形分類

DEMから算出される各種の地形的な特徴量をもとに作成された地形分類図は、非常に多くの場面において利用されている。Iwahashi and Pike(2007)は。地形の傾斜、凸度、表層テクスチャを利用した地形の分類方法を提案し、現在広く利用されている。本研究では、これらの先行研究を参考に、教師なしのニューラルネットワークである自己組織化マップ(Self-Organizing Maps)を利用した地形分類の自動化と使用する地形特徴量の組み合わせによって、分類結果が受ける影響の把握を目的とした。本研究での対象地域は、山梨県と長野県の県境に位置する八ヶ岳南部の地域(東西約22.5km、南北約20.0km)とした。

SOMの具体的な適応は以下の手順で行った。①DEMデータより傾斜量、凸度、表面テクスチャー、斜面方位、尾根谷度、曲率、起伏量、の地形特徴量の算出を行う。②これらの地形特徴量を組み合わせて、SOMへの入力データとした。地形特徴量の組み合わせは合計7パターン用意した。③これらのデータに対して、SOMによって教師無し学習を行い、地形分類図を作成した。また、SOMでの分類の特徴を可視化するため、各特徴量のヒストグラムも作成した。④作成された地形分類図とヒストグラムをもとに分類結果を比較し、利用した地形特徴量の組み合わせによる分類結果の影響を検討した。またIwahashi and Pike(2007)による分類結果との比較も行った。その結果、複数の地形特徴量を用いたSOMによる自動地形分類では、比較的一様に分布している地形特徴量が偏りのある地形特徴量と比べて分類に大きく影響していることが分かった。また、ヒストグラムが対称な分布で、かつデータの振れ幅が少ないヒストグラムを持つ地形特徴量は、SOMによる地形分類結果には大きな影響を与えないことが分かった。今後は教師ありニューラルネットワークの適用を通して、地形分類図の防災分野への適用を考えていきたい。