日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM04] 地形

2019年5月29日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM04-P05] 谷頭凹地の地下構造推定における電気探査の適用―筑波山花崗岩斜面における事例―

*吉原 直志1八反地 剛2 (1.筑波大学大学院生命環境科学研究科、2.筑波大学生命環境系)

キーワード:表層崩壊、谷頭凹地、花崗岩、電気探査、地下構造

地下構造,特に土層厚は,表層崩壊の発生に関わる重要な一要素である.しかし,地下構造の空間的かつ連続的な把握には多大な労力と時間を要するため,より効率的な調査手法の確立が望まれる.地下構造の推定手法として電気探査の有用性が従来より議論されてきたが,実際には深層の水分分布に着目した探査事例が多いため,表層における地下構造の可視化を試みる余地がある.そこで,筑波山麓(茨城県)の花崗岩山地における谷頭凹地を対象として,二次元電気探査,簡易貫入試験,物性値の測定を実施し,表層地下構造の推定における電気探査の適用性について検討した.
 電気探査の実施日には,先行降雨がほとんど観測されなかった.電極間隔を0.5 mに設定した探査により,高解像度の比抵抗分布図が得られ,土層(簡易貫入試験による抵抗値Nc = 3)の深度が4000~10000 Ωmの比抵抗域として可視化された.一方,基盤岩(Nc = 30)の深度と比抵抗域の対応関係は不明瞭であった.比抵抗分布図と物性値の測定結果から,探査時には地表面付近は乾燥しており,地下深部は地下水により湿潤状態であったことが示唆される.したがって,表層では物質ごとの表面伝導特性の違いが比抵抗値に反映されたと推定される.また地下深部の岩盤内部では,岩盤地下水に起因する液中伝導特性が比抵抗値に反映されたと推定される.