日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM04] 地形

2019年5月29日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM04-P13] 与那国島南海岸の海蝕地形

*木村 颯1浦田 健作2長谷川 均3市原 季彦4鈴木 淳5堀 信行6菅 浩伸2 (1.九州大学大学院地球社会統合科学府、2.九州大学大学院比較社会文化研究院 、3.国士舘大学 、4.堆積環境リサーチ、5.独立行政法人産業技術総合研究所地質情報研究部門 、6.奈良大学地理学科)

キーワード:SfM多視点ステレオ写真測量、フォトグラメトリー、海蝕崖、波蝕棚、八重山層群、琉球石灰岩

与那国島は日本の最西端に位置する島である. その海岸域は三紀層である八重山層群の堆積岩, 更新統の琉球石灰岩より構成されており, 海蝕地形が広く見られる. 海崖は高低差が大きく, 接近が困難である. そのような地形の観察が難しい海蝕崖を含めた海岸を, ドローンにより撮影し, 3次元モデルを作成した. モデルの観察を行い, 海蝕地形の形成過程について考察をおこなった.
与那国島の東岸から南岸にかけて, 6地域を対象として調査を実施した. ドローンはDJI Phantom 4 Proを使用し, アクセス可能な場所についてはGCPを設置した. SfM-MVS用ソフトウェアとしてPhotoScan Professionalを用い, 地形のモデルを作成した.
観察の結果, 岩質によって形態の大きく異なる海蝕地形が形成されることが分かった. 石灰岩海岸では, 場所によっては数百m規模の崩壊地形が形成されていた. 崩壊は不整合面の未固結層, 石灰岩内の砕屑性堆積物で構成される箇所における活発な侵食を発端とすると考えられる. また, 三紀層である八重山層群の堆積岩よりなる海崖は, 砂岩頁岩互層と塊状砂岩よりなる崖で形態が異なる. 互層よりなる海崖においては層理面に沿って剥がれ落ちるように侵食を受けるため, 海蝕崖基部に平坦な地形がつくられる. 一方, 塊状砂岩は岩塊ごと崩壊するため, 崖基部に巨礫よりなる崖錐を形成する.
以上のように, 与那国島南海岸においては, 岩質を反映した海蝕地形の多様性が認められる.