日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE17] 再生可能エネルギー分野への活用に向けた地球科学データの可能性

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター)、宇野 史睦(産業技術総合研究所)、島田 照久(弘前大学大学院理工学研究科)、野原 大輔(電力中央研究所)

[HRE17-P01] 岩木山における冷却熱源利用としての湧水,地下水,沢水の水質特性評価

*井岡 聖一郎1浅井 和由2浅井 和見2 (1.弘前大学地域戦略研究所、2.株式会社地球科学研究所)

キーワード:岩木山、水質、冷却熱源利用

岩木山では,これまで地熱発電開発に必要な冷却熱源に関する調査研究は実施されていない。したがって,本研究では地熱発電,主に地熱バイナリ―発電を実施する際に必要な冷却熱源として湧水,地下水,沢水の利用可能性について,沈殿物の生成の観点から水質特性から評価することを目的とした。

対象とした試料は,岩木山域に存在する湧水10地点,地下水2地点,沢水18地点である。計測項目は,pH,電気伝導率,水温,流量である。分析項目は,Li+, Na+, NH4+, K+, Mg2+, Ca2+, F, Cl, Br, NO3, SO42–, Fe, Mn, Sr, Ba, Cu, B, Si,アルカリ度,溶存有機炭素, δ18O,δDである。沈殿物の生成評価はPHREEQC Interactive Version.3.4.0.12927を用いて実施した。

 沈殿物の生成は,採水時の平均温度10℃と加温15℃で評価した。その結果,カルサイトや非晶質シリカは,すべての湧水,地下水,沢水で10℃,15℃ともに飽和指数が未飽和であり,沈殿物の生成が起きにくいことが評価された。一方,鉄の沈殿物は,Fe濃度が0.005mg/L以上認められた沢水において飽和指数が過飽和を示したが,0.1mg/L以上の地点が2地点のみで利用時,その地点を利用しなければ影響は少ないと考えられる。以上,沈殿物生成の観点から本地域の湧水,地下水,沢水は,冷却熱源利用としての有効活用が可能である。