[HSC07-P09] How many data are necessary to make a suitable threshold for anomalous pCO2 owing to CO2 leakage?
キーワード:海底下CO2貯留、漏出、海洋監視、CCS
日本では、海底下CO2貯留は海洋汚染防止法により規制され、万が一の漏出の場合に速やかに検知できるようにモニタリングすることが求められている。地下深くの地層に貯留されたCO2が海に漏出すると、海水の炭酸系(pH, DIC, pCO2など)の値が変化すると考えられる。そこで、これら炭酸系の異常値を見つけることが海洋モニタリングの一つの手法となり得る。しかし、炭酸系の自然変動は比較的大きいため、観測値が異常値かどうか判定するのは難しい。苫小牧CCS実証試験においてはpCO2がモニターされているが、漏出が起きたことがないにもかかわらず、測定値が異常と判定されたことが多々ある。自然変動を異常値と誤判定する擬陽性自体は避けることができないが、避けることができる擬陽性もある。例えば、不十分なベースラインデータに基づいて作られた不適切な基準値によって生じる擬陽性がそうである。本研究では、大阪湾で2002年から2010年に観測された四季調査データを解析し、どれだけのデータがあれば適切な基準値を作ることができるかを調べた。N(1≦N≦9)年分のデータを使って、pCO2と溶存酸素飽和度の相関関係に基づく基準線を求め、それに9年分全データを適用し、基準線を超えるデータ(すなわち擬陽性)の数を数えた。四季調査データの場合には、適切な基準線を作るには少なくとも5年前後のデータが必要である。