日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG39] 海洋地球インフォマティクス

2019年5月30日(木) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:坪井 誠司(海洋研究開発機構)、高橋 桂子(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、金尾 政紀(国立極地研究所)、松岡 大祐(海洋研究開発機構)

[MAG39-P01] 地球シミュレータによる大気海洋プロダクトの産業流通における課題

*角田 晋也1西村 一1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード:産業流通、ボトルネック、大気海洋シミュレーション

公的機関の研究開発活動がもたらす社会経済波及効果の拡大を目的として、民間との連携のもと、地球シミュレータ及びその成果を用いたビジネスを創出する事業戦略につき考察した。社会課題の解決には、成功事例の創出だけでなく、横展開と長期運用が必須である。公的資金の公募においても社会実装は公的資金のみでは賄えないので、民間企業による社会実装への見通しを求められる場面が増えている。他方、公的機関も研究成果がより一層の社会経済波及効果を及ぼすよう求められている。しかし、公的研究機関は人手不足のため、現在実施している国のプロジェクトに対応するのが精いっぱいである。

環境データ、特に超大容量の気象データを利用するための専門スキルを持つものが少ないことが社会実装の際の根本的なボトルネックとなっている。ここをスムーズにデータが流通するよう、大学研究者などの少数の人材に作業が集中的に依存しないように工程を分割し、分業し易くなるようプラットフォームを構築することを提案する。特に、力学的ダウンスケーリングの後の統計解析や影響評価の工程をデータサイエンティストや気象予報士に割り当てることができれば、いずれも日本に一万人程度存在するのでダウンスケーリングの工程よりは人材層が厚い。データサイエンティストのうちかなりの割合がpython等のスクリプトのスキルを持つと想定される。他方、気象予報士は毎年150名ほど合格している。その上で、多くの自治体が上述の超大容量データを利用したり、自治体が保有する現場データ等の小規模サーバを構築したり、現場データをGIS化したりする業務を自治体から民間企業にアウトソーシングする流れを作り出す必要がある。
 長期的には人材育成が必要であるが、極端現象を取り扱わなければならない影響評価を行う企業向けには、各省庁の研究所、先進的な自治体研究所、または大学から毎年計十名ほどを雇用または共同研究により育成できる。