[MGI35-P06] 惑星大気の放射伝達計算: 大気大循環モデルへの適用
キーワード:惑星大気、放射伝達、地球,火星,金星
近年数多くの惑星が太陽系外に発見されてきている.そのような惑星たちの表層の環境はどういったものであり,それをもたらす大気循環がどういったものでありうるのか,というのは基本的な問題の一つであると言ってよいだろう.このような問題を扱うための最初のステップはこれらの惑星大気の放射特性を明らかにすることである.今日,いわゆる大気大循環モデルがこれらの惑星の表層環境研究にも用いられるようになってきている.しかし,計算の物理的な鍵となる放射伝達の計算には困難がつきまとっている.その一つは,放射計算,特にそのパラメタ計算には膨大な計算資源が必要になるということである.地球大気とは大きく異なるであろう新たな惑星大気群に対して,地球大気で培ってきた放射計算の全体を追跡再検討し,パラメタ的に別途新たに計算し直さなければならない. 本研究では,パラメタ空間に多様な大気構造をもつであろう系外惑星大気の放射計算を行っていく際の手順を整理し,特に,地球・火星・金星を念頭においたパラメタ空間で計算を実現し,大気大循環モデルに試験的に実装した.
大気循環モデルのための放射過程モデル開発においては,まず,ラインバイライン法によって吸収スペクトルを計算生成しなけらえばならないが, ラインバイライン法では膨大な計算資源を必要とする.我々は,高度方向に分割したMPI計算としてこれを並列計算実装することによりパラメタ生成を実現,計算資源の問題を解決した.地球型惑星の典型的な計算条件のもとでは,用いた層の数は10から100といったところである.計算規模のプロセス数に対するスケーラビリティーは非常によい.検証のために,現在の地球,火星,金星での放射フラックスと放射加熱率を計算した.
次に,このラインバイライン計算で得られた吸収係数を用い,相関K-分布法によって,より少ないバンドを用いた二方向近似放射伝達モデルのためのパラメタセットを生成,計算コストを大幅に削減することにより大気大循環モデルに実装可能な放射伝達モデルとした.発表では,放射フラックスと放射加熱率について,地球・火星・金星の観測,これらに対する他の放射モデルの結果,これらに対する我々の放射モデルの結果を比較提示して,その正当性を見るとともに,モデルに実装して数値計算を実現した例について紹介する.
大気循環モデルのための放射過程モデル開発においては,まず,ラインバイライン法によって吸収スペクトルを計算生成しなけらえばならないが, ラインバイライン法では膨大な計算資源を必要とする.我々は,高度方向に分割したMPI計算としてこれを並列計算実装することによりパラメタ生成を実現,計算資源の問題を解決した.地球型惑星の典型的な計算条件のもとでは,用いた層の数は10から100といったところである.計算規模のプロセス数に対するスケーラビリティーは非常によい.検証のために,現在の地球,火星,金星での放射フラックスと放射加熱率を計算した.
次に,このラインバイライン計算で得られた吸収係数を用い,相関K-分布法によって,より少ないバンドを用いた二方向近似放射伝達モデルのためのパラメタセットを生成,計算コストを大幅に削減することにより大気大循環モデルに実装可能な放射伝達モデルとした.発表では,放射フラックスと放射加熱率について,地球・火星・金星の観測,これらに対する他の放射モデルの結果,これらに対する我々の放射モデルの結果を比較提示して,その正当性を見るとともに,モデルに実装して数値計算を実現した例について紹介する.