日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS08] ジオパーク

2019年5月27日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)

[MIS08-P03] 山陰海岸ジオパークにおける学術研究奨励事業の取り組み

*郡山 鈴夏1 (1.山陰海岸ジオパーク推進協議会)

山陰海岸ジオパークは京都府北西部から兵庫県北部、鳥取県東部の3府県にまたがり、日本海形成から現在に至る多様な地形地質が存在し、それらを背景とした生き物や人々の暮らし、文化・歴史について触れることができるユネスコグローバルジオパークである。2007年に山陰海岸ジオパーク推進協議会が発足し、2008年に日本ジオパーク、2010年には世界ジオパークに加盟認定された。


山陰海岸ジオパークでは活動開始当初からエリア内での学術研究支援、特に地質学的な研究を重視しており、研究者向けの研究助成事業を行っている。

ジオパークのエリア内での学術研究の重要性は4年に1度行われる世界ジオパークの再認定審査においても示されており、審査の評価表の中では「Ⅲ1.2 少なくとも年間1本、卒業論文や修士論文(地質図作成など)が書かれている」「Ⅲ1.3 過去3年間にジオパークエリア内に関する博士論文が1本以上発表されている」「Ⅲ1.4 科学や観光に関する学術論文が過去5年間で5本発表されている」とエリア内で行われた学術研究の有無を問われる。

学術研究支援事業である「山陰海岸ジオパーク学術研究奨励事業」は2009年に開始し、2018年度まで継続して行われている(2019年2月現在、2019年度も実施予定)。その間、77件(応募件数は90件)の研究の支援を山陰海岸ジオパークとして行った。この10年間でエリア内の研究論文は確実に増加しており、卒業論文等の支援のみにとどまらず、学術研究奨励者による国内誌、国際誌への論文投稿も行われている。

一方、毎年報告される最新研究事例をジオパークとして十分に活用することはまだできておらず、蓄積する学術研究をどうジオパーク活動に生かしていくかが本事業の課題でもある。

本発表では、10年継続してきた学術研究奨励事業が山陰海岸ジオパークに与えた影響と助成金を利用する研究者に与えた影響について、ジオパーク推進協議会事務局と研究者の両方の立場から議論する。