日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS17] 歴史学×地球惑星科学

2019年5月27日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:加納 靖之(東京大学地震研究所)、芳村 圭(東京大学生産技術研究所)、磯部 洋明(京都市立芸術大学美術学部)、岩橋 清美(国文学研究資料館)

[MIS17-P06] 現代観測と歴史史料をつなぐ20世紀前半の観測データ:花山天文台乾板データの利用例

*玉澤 春史1北井 礼三郎4磯部 洋明2上野 悟3坂上 峻仁3 (1.京都大学防災研究所、2.京都市立芸術大学美術学部、3.京都大学大学院理学研究科附属天文台、4.佛教大学)

キーワード:太陽黒点、磁気嵐、データアーカイブ

歴史史料から自然現象の記録を取り出してデータとして利用する場合,どのように現代の観測パラメータと比較するかが重要である.歴史史料を用いた研究を現代科学とシームレスにつないで自然現象の長期的な変動を調べるには、近代観測初期の観測データの活用も重要である。太陽観測においては19世紀終盤から20世紀前半にかけて写真乾板等で撮影されたデータがあり、少しずつアーカイブ化が進みつつある。

本報告ではそのようなデータを活用する一例として,20世紀前半の太陽黒点画像およびスペクトロヘリオグラフによる太陽全面の彩層画像(CaK線ヘリオグラム)と地磁気観測データの照合についてとりあげる.

1930年代の10年間について,京都大学花山天文台にて撮影された太陽CaK線ヘリオグラムの写真乾板データや磁気嵐の指標の一つであるaa指数を照合したところ,aa指数で-100nTを超える規模の磁気嵐が発生した際でも,9例ほど黒点が無いことが記録されている場合があった.一例として1933年4月末に、花山天文台のCaK線ヘリオグラムおよび各地の黒点スケッチで黒点が見られない時期があったが,5月1日には柿岡では地磁気嵐が観測されており,aa指数は200程度となっている.CaK線ヘリオグラムの利点は、黒点だけでなく、連続光では見えないプラージュなどの比較的弱い磁場が分布している領域が可視化されることである。これにより、コロナ質量放出を引きおこすフィラメントが存在しうる大局的な磁気中性線の情報を得ることができる 。