[MIS17-P11] 日本産樹木年輪の炭素14年代測定-年代研究と日本版較正曲線
キーワード:炭素14年代法、年輪年代法、較正年代、地域効果
炭素14年代を暦上の年代に修正するためには,樹木年輪など暦年代の判明した試料の炭素14年代に基づいて整備された「較正曲線」が用いられる。北半球用の較正曲線IntCalには,これまで主に欧米の高緯度地域に生育していた樹木年輪の炭素14年代が用いられてきたが,現在整備が進められている最新版「IntCal19」では,様々な地域のデータが反映される見込みである。
筆者らは過去3,000年間を対象に,日本産樹木年輪の炭素14年代測定を継続してきた。最近は,炭素14-ウィグルマッチ法による文化財建造物の年代研究の需要もあり,中世・近世の日本産樹木年輪の測定にも注力している。その背景には,樹種によらない新しい年輪年代法「酸素同位体比年輪年代法」の実用化がある。暦年代の判明した樹木年輪の入手が格段に容易になり,データの蓄積が急速に進展しつつある。
日本産樹木年輪の炭素14年代は,時期によりIntCalからずれる「地域効果」を見せることがある。特に弥生から古墳にかけての時期が顕著であり,IntCalによる年代較正では実際より古い年代を与えてしまう。また,より高い精度・確度が求められる歴史資料の年代較正には,汎用性を重視し平滑化されたIntCalでは不十分な場合がある。年代研究の推進には,日本産樹木年輪の炭素14年代の挙動を明らかにし,日本版較正曲線の整備を進めることが必要である。
本研究は国立歴史民俗博物館共同研究,および地球研プロジェクト(H-05)による成果の一部である。また,科学研究費補助金(25282075, 18H03594)の支援を受けている。
筆者らは過去3,000年間を対象に,日本産樹木年輪の炭素14年代測定を継続してきた。最近は,炭素14-ウィグルマッチ法による文化財建造物の年代研究の需要もあり,中世・近世の日本産樹木年輪の測定にも注力している。その背景には,樹種によらない新しい年輪年代法「酸素同位体比年輪年代法」の実用化がある。暦年代の判明した樹木年輪の入手が格段に容易になり,データの蓄積が急速に進展しつつある。
日本産樹木年輪の炭素14年代は,時期によりIntCalからずれる「地域効果」を見せることがある。特に弥生から古墳にかけての時期が顕著であり,IntCalによる年代較正では実際より古い年代を与えてしまう。また,より高い精度・確度が求められる歴史資料の年代較正には,汎用性を重視し平滑化されたIntCalでは不十分な場合がある。年代研究の推進には,日本産樹木年輪の炭素14年代の挙動を明らかにし,日本版較正曲線の整備を進めることが必要である。
本研究は国立歴史民俗博物館共同研究,および地球研プロジェクト(H-05)による成果の一部である。また,科学研究費補助金(25282075, 18H03594)の支援を受けている。