[MIS20-P05] 横尾岩小屋モレーンより低位置で発見された氷河性堆積物の可能性をもつ岩屑
キーワード:氷河作用、最終氷期、更新世後期、ティル、日本アルプス
北アルプス・梓川上流において従来知られていた山岳氷河の最前進位置は,五百澤智也が発見した橫尾地区の通称「岩小屋モレーン(標高1700 m)」である.演者らは橫尾地区で再調査を行い,この地域に全く分布しない火成岩類の礫からなる不淘汰岩屑を発見した.発見地点は岩小屋モレーンより水平距離で約1400 m,標高差で50 m低位側である.分布や円磨度・淘汰度からみて,この岩屑は氷河に運搬された可能性が高い.岩屑の堆積年代は未詳であるが,海洋酸素同位体ステージ4が有力である.その氷河は梓川源流の涸沢や横尾谷を流下し,現在の橫尾小屋付近で槍沢を堰き止めていた可能性がある.