[MIS20-P11] 可視⁻近赤外分光反射率画像を用いた樹木細根の樹種間差と根特性の評価
キーワード:根直径、解剖、形態、化学
一般に可視-近赤外波長の連続分光反射率の測定は、植物体の色素や有機物などの化学組成や細胞の成長段階を反映するため、葉や果実において非破壊かつ多角的な評価を可能にしている。しかし森林土壌の物質循環に関わる樹木細根において連続分光反射率を用いた研究は少ない。本研究では、分光技術を細根研究に応用し、吸収機能や根寿命と関わる根特性と反射率の関係から、細根の反射率が表現する根の性質を明らかにすることを目的とした。対象樹種は、北海道大学苫小牧研究林における高木種の20樹種とした。対象木から根系を辿り、細根系を採取した。洗浄後、細根系を3直径階級(0-0.5mm、0.5-1.0mm、1.0-2.0mm)に分け、458-2391nm (4.1-5.8nm刻み、376バンド)の連続分光反射画像を撮影した。その後、各直径階で形態(平均直径、比根長、根組織密度)、化学(炭素、窒素濃度)および解剖(中心柱面積、皮層面積)を測定し、連続分光反射率との関係を解析した。20樹種の根系の連続分光反射率は、いずれの直径階級においても4つの山型のピークを持つ曲線を示した。458-1400nmの波長帯では、直径が大きいほど反射率が高い傾向がみられた。一般的に測定物質の厚みが増すほど反射率は高くなる傾向みられるが、樹種ごとに現れた反射率の変化の違いからも反射率は20樹種間でも異なった。さらに反射率と樹種間で異なる根特性の関係を考察し、分光技術による細根の多角的な評価を行う予定である。