日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ51] 地球惑星科学の科学史・科学哲学・科学技術社会論

2019年5月27日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:矢島 道子(日本大学文理学部)、青木 滋之(中央大学文学部)、山田 俊弘(東京大学大学院教育学研究科研究員)、吉田 茂生(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

[MZZ51-P06] 松本達郎(1913-2008)の日本におけるプレートテクトニクス・パラダイム転換への貢献

*眞島 英壽1 (1.明治大学黒耀石研究センター)

キーワード:プレートテクトニクス、松本達郎、パラダイム転換、地向斜、付加体

海洋拡大説からプレートテクトニクス(PT)理論の成立期である1960年代から1970年代,松本達郎(1913-2009,当時九州大学層序学担当教授)は日本地質学界において指導的立場にあった。日本の層序学分野におけるPT論に伴うパラダイム転換は,地向斜論から付加体論への転換に代表される。松本は,このパラダイム転換に関わる国際・国内シンポジウム議長や国際委員,総合研究代表研究者,論文集編者などを歴任し,日本の地球科学を牽引した。四万十帯付加体論は松本が指導した坂井卓を中心として1970年代後半に構造地質的観点から提案された。中世古らによる放散虫研究を最初に評価したのは,松本が長年指導的立場にあった日本古生物学会である。しかしながら,松本が自らへの称賛を好まなかったこともあり,これらの貢献は忘れ去られ,従来の日本におけるPT受容史研究(泊, 2008)でも紹介されていない。本講演では,1960~1980年代前半の松本のPT論に関わる研究活動を紹介し,松本がPT論を通じた地球科学における相互理解と協力関係の実現のため,最も尽力し行動した人物であることを明らかにする。