日本地球惑星科学連合2019年大会

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[J] ポスター発表

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[O-08] ジオパークで地球活動をイメージする -ジオ多様性の大切さを知ろう-

2019年5月26日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)

[O08-P07] ジオサイトの評価とその活用—三陸ジオパークを例として

*長田 翔1高木 秀雄2 (1.早稲田大学教育学部理学科地球科学専修、2.早稲田大学教育・総合科学学術院)

キーワード:ジオサイト、評価、ジオパーク、三陸ジオパーク

目的:国内最大の面積をもつ三陸ジオパークは,北部,中部,南部ブロックに区分されており,幅広いジオの多様性を有するとともに,津波被災遺構を活用した防災教育も重要視されている.協議会で選定されている合計48ジオサイト(旧定義)の中から特に地質・地形および津波に関連した36ジオサイトを選び,新たな定義のもとで細区分された中から合計65ジオサイトを選択した.それらについて,ジオサイトの評価法(Suzuki and Takagi,2017) を用いて,6つの主項目(教育的価値,科学的価値,観光価値,安全性とアクセス,保護・保全とサイトの持続可能性,情報の整備状況)からなる評価を実施した.その結果をもとに三陸ジオパークおよび各ジオサイトの現状を分析するとともに,今後の改善の方策の構築のための基礎資料とする.
背景:2011年3月の東北地方太平洋沖地震で甚大な津波災害を受けた三陸ジオパーク候補地は,2013年にジオパーク活動を復興に役立てることが期待されて日本ジオパークに認定された.その後2017年の再認定審査で条件付き再認定となったことから,2019年に予定されている再認定審査に向け整備が進められている.
結果:上記6主項目について各々3つずつの副項目の合計18項目を4段階評価で採点し,3副項目の平均値を主項目の点数として,正六角形のレーダーチャートに示した.また,6主項目を色分けして合算した棒グラフで,ジオサイトごとの評価を示した.24点満点の中で,特に優れているジオサイトを20点以上とした場合,北から7 大野海成段丘, 9-1 鏡岩, 11-1 琥珀, 13 野田玉川鉱山跡, 14 黒崎, 15-1 普代水門,18-1 北山崎, 18-2 鵜の巣断崖, 19-1 明戸海岸防潮堤, 22-2 龍泉洞, 23-1 浄土ヶ浜, 23-3 日出島, 25-2 たろう観光ホテル,32-1蓬莱島, 33釜石鉱山, 44-1高田松原の一本松,があげられる.一方15点未満の早急に対応が必要なジオサイトとしては,2-4 白岩, 4-2 寺下の滝,20 P-T境界層, 21-2 原地山層と宮古層群の不整合, 37-2 大森林道沿いの古生界露頭, 38-2 門之浜の防潮堤, 43-1 氷上花崗岩と壺の沢変成岩, 43-2 長部礫岩と気仙川花崗岩,などがあげられる.
結論: 今回の調査で,次の課題が浮かび上がった.
1.個人でジオサイトを訪れようとしても,詳細な位置や道筋に関する情報がない場合が少なくない.
2.個々のジオサイトの場所および名称を,新しいジオサイトの定義に則り,ある程度狭い範囲に設定すべきである.例えば,37−2 大森林道沿いの古生界露頭,43−1 氷上花崗岩などの名称では,どこに行ったら良いジオサイトが見られるのか,見当もつかない.
これらを踏まえて,位置情報を明確に示したジオパークの統一規格のパンフレットやガイドマップを整備して,三陸ジオパークとしての連携と一体感を醸成することが重要と考える.
文献:Suzuki, D. A. and Takagi, H., 2017, Geoheritage, 10, 123-135.