日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-08] ジオパークで地球活動をイメージする -ジオ多様性の大切さを知ろう-

2019年5月26日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)

[O08-P14] ジオパーク秩父の34ジオサイトの評価とその活用

*高木 秀雄1廣瀬 智美2 (1.早稲田大学教育・総合科学学術院、2.早稲田大学教育学部)

キーワード:ジオパーク秩父、ジオサイト 評価、ジオツーリズム

地質の多様性に恵まれたジオパーク秩父のジオサイトを幅広い層の人々が楽しく安全に楽しむための方策を探るべく,ジオパーク秩父の推進協議会が新しく設定した34ジオサイト(34は札所の数, 井上・富田,2018)を含む計39サイトを調査し,Suzuki and Takagi (2017) により開発されたジオサイトの評価法を用いて,6つの主項目(教育的価値,科学的価値,観光価値,安全性とアクセス,保護・保全とサイトの持続可能性,情報の整備状況)からなる評価を実施した.その結果を2018年11月12日にジオパーク秩父推進協議会メンバーの前で発表,一部修正を加えた.今回の結果をもとに検討事項を洗い出すことで,今後のジオパーク秩父のマネジメントに役立てていただくことが目的である.
 2019年に予定されている再認定審査に向け,ジオサイトの定義の変化に対応すべく,従来の34ジオサイトを見直し, (1) ジオサイトは基本的にポイントととらえる,(2) ただし,非常に近接した場所にあり,一連のストーリー性をもつ複数のポイントについては,一つのジオサイトとしてまとめる,(3) ジオポイントという名称は用いない,(井上・富田,2018)という考え方をもとに新ジオサイトが提案された.また,ジオサイトをより地質・地形に特化したサイトとする新たな定義のもと,眺望サイト,生態サイト,文化・歴史サイトなどは別に定められている.上記6主項目について各々3つずつの副項目の合計18項目を4段階評価で採点し,副項目の平均値を主項目の点数として,正六角形のレーダーチャートに示した.また,6主項目を色分けして合算した棒グラフで,ジオサイトごとの評価を示した.
 その結果,24点満点の中で,特に優れているジオサイトを20点以上とした場合,7.橋立堂の石灰岩体と橋立鍾乳洞,17.岩畳と秩父赤壁,18.虎岩,19.紅簾石片岩とポットホール,26.取方の大露頭,28.ようばけ,のほか,眺望サイトに移動した「美の山・絶景ポイント」が挙げられる.一方,15点未満の早急に対応が必要なジオサイトとしては10.安谷川マンガン採掘坑(新ジオサイト)が挙げられる.今回の39サイトの採点結果のうち,各主項目が平均3点以上(合計18点以上)の22か所は当面問題ないが,18点未満の17か所は今後改善されることにより,より良いジオツアーが展開できるであろう.発表では,新ジオサイトに対する改定案を提示するとともに,特に新しく追加されたジオサイトの課題について言及する.
文献: 井上素子・富田貴夫,2018,埼玉県立自然の博物館研究報告, No.12,41-48.
Suzuki, D. and Takagi, H., 2017, Geoheritage, 10, 123-135.