[O08-P19] 立山黒部ジオパークの現状と課題 ―条件付き再認定を受けて―
キーワード:立山黒部ジオパーク、ジオパーク、保全、ツーリズム、教育
立山黒部ジオパークは,富山県東部の9市町村と富山湾の一部から構成される日本ジオパークであり,標高3000 m級の立山連峰から水深1000 mの富山湾まで,高低差4000 mにも及ぶ空間的広がりをもつ.本ジオパークは,主に地域の研究者が呼びかけ,運営組織は立ち上げ時から地域の経済界が中心となり,行政がバックアップする形で進められた.こうした背景により,国内では唯一,民間組織(一般社団法人立山黒部ジオパーク協会)によって運営されているジオパークである.これまで本ジオパークは,自治体や大学,博物館等と連携しながら活動を展開してきた.現在では,地元の企業や民間団体が,ジオパークを取り入れた活動を行い始め,地域内でのジオパークが果たす役割は徐々に拡大しつつある.しかしながら,2018年の日本ジオパーク再認定審査の結果は,2年間の条件付き再認定となった.指摘された主な事項は(1)ジオパーク活動に対する関係者間の認識のばらつき,(2)保全に関する計画や取り組みが不明瞭な点,(3)主要な観光ルートでの可視化やジオパーク看板の数,(4)提供している解説内容の難しさである.これらの指摘に対して,日本ジオパーク委員会の助言を得ながら,課題解決に向け計画的に取り組んでいきたいと考える.今回は,立山黒部ジオパークのこれまでの取り組みと今後の課題について,再認定審査の結果を踏まえながら報告する.