日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-AE 天文学・太陽系外天体

[P-AE20] 系外惑星

2019年5月26日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:生駒 大洋(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、成田 憲保(東京大学)

[PAE20-P03] 巨大ガス惑星からの水素輝線放射の理論モデル: LkCa15b と PDS70b の観測との比較

*青山 雄彦1生駒 大洋1Gabriel-Dominique Marleau2Christoph Mordasini3 (1.東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻、2.テュービンゲン大学、3.ベルン大学)

キーワード:LkCa15b、PDS70b、衝撃波加熱、水素輝線、Hα

近年幾つかの質量集積期の巨大ガス惑星が、直接撮像法によって観測されている。そのほとんどは近赤外で観測されているが、LkCa15b と PDS70b の二つは可視光の水素の Hα 輝線でも観測されている。集積期の巨大ガス惑星の光球面温度は数千 K だと考えられており、これは近赤外の直接撮像の結果と整合的である。一方で可視光の観測光度は、この光球面からの放射と比べて桁で明るく、数万 K の高温ガスの存在を示唆している。このような高温ガスは、衝撃波加熱によって生まれると考えられる。先行研究の数値流体計算によると、巨大ガス惑星へ集積するガスは、その過程で様々な衝撃波を通過する。衝撃波加熱を受けたガスは瞬間的には数万 K の高温に到達できる。しかしこの高温ガスは、水素輝線放射によって即座に数千 K 以下にまで冷却すると考えられる。したがって、放射される Hα の光度を推定するには、冷却するガスの流体構造、輝線放射過程、放射輸送を同時に扱う必要がある。本研究ではこのようなモデルを開発し、衝撃波から放射されるHαの強度を、衝撃波の強度とガス密度の関数として推定した。また、巨大ガス惑星へ集積するガスがどのような流れであれば、観測されたHαの光度を再現できるか、検討した。