日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG25] 惑星大気圏・電磁圏

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:関 華奈子(東京大学大学院理学系研究科)、今村 剛(東京大学大学院 新領域創成科学研究科)、前澤 裕之(大阪府立大学大学院理学系研究科物理科学科)、寺田 直樹(東北大学大学院理学研究科)

[PCG25-P13] 太陽風の荷電粒子が惑星の大気におよぼした影響

*唐澤 信司1 (1.宮城工業高等専門学校 名誉教授)

キーワード:太陽風、磁気圏、スーパースーローテーション、金星、土星、タイタン

太陽風の担い手は、太陽の自転による反時計回転方向に2km/secの回転成分を伴って平均速度450km/secで太陽から放射される質量のある荷電粒子のプロトン(H+)です。磁気を持たない金星の正面に太陽風が衝突すると太陽風の回転運動成分が歯車の嚙み合う仕組みで惑星の大気を時計回転方向に動かします。太陽風が金星の上空の雲を金星の西側に剥ぎ取るような姿の写真があります。この金星のスーパーローテーションは高度60kmの上空では100m/secですが金星の赤道の地面の自転速度は1.6 m/secです。金星の気圧はCO2の3重点の72.8気圧を超えて90気圧もあり、CO2の大気が地面に接して移動を続けて金星の自転を太陽の自転と反対の時計回転方向で1.6m/secの地表速度にしたと推測されます。
 タイタンでは120kmの高度で最大120 m/sのスーパーローテーションが発生しています。タイタンの公転軌道の半径は120万kmで土星の110万kmの磁気圏の伸長した部分を通過します。太陽風のH+が土星の磁場に入ると磁束に巻きついて直進せずに磁場に滞留します。H+が電子を伴いプラズマとなって土星の自転と共に 10.7時間で回転しています。タイタンの公転軌道では磁気圏の移動速度は200km/secになります。そこで、タイタンの表面は10.7 時間の周期で土星の磁気圏に滞留する荷電粒子のH+が固体のCO2にシャワーのように衝突してCH4を生成し、液体のCH4ができます。H+の衝突速度はタイタンの土星に面した側と裏側では最大で843 m/secの差があり、タイタンの大気を土星の自転と同じ回転方向で周回させます。
[参考動画、唐澤信司, https://www.youtube.com/watch?v=3upO1KcvxF4&feature=youtu.be ]