[PEM16-P01] サブストームとオーロラブレイクアップ時のGPS位相シンチレーションの時空間変動
キーワード:高緯度電離圏、GPS TECと位相シンチレーション、電離層電流
高エネルギー粒子の降込みによって生じる電離圏構造の変化はGPS観測に悪影響を及ぼし、位相シンチレーションおよびサイクルスリップ(ロックの喪失)を引き起こす可能性がある。GPS位相シンチレーションは、オーロラの強度と、特にオーロラの明るさの急激な変化と相関する [1,2,3]。夜側下向き領域1電流におけるサブストーム拡大期にみられる全電子量(TEC)の増大は、降下粒子フラックスの増加と関連しているように思われる[4]。このようなTECの増大は、サブストームとオーロラブレイクアップの直後に最も強い位相シンチレーションを発生させる。 位相シンチレーションは、カナダ高緯度北極電離圏観測網(CHAIN)からの特殊なGPSシンチレーション受信機によって50Hzのサンプリングレートで取得されたデータから求められる。プロキシシンチレーション指数は、1Hzサンプルの測地学的精度のGPS受信機の二重周波数測定から得られる。これには、カナダ測地調査所(CGS)によって広域に設置され、準実時間で監視されるRT-IGS観測網の受信機が含まれる。TECと位相シンチレーションの時空間変化について、球面基本電流系(SECS)法を用いて[5,6]、地上磁力計観測網から導出される等価電離圏電流との関連から研究し、位相シンチレーションとオーロラ発光の関係についても調べる。一般的に、GPS位相シンチレーションは、強い西向きの電流ジェットの領域内および東向きの電流ジェットの極側境界に沿って発生する。サブストームとオーロラブレイクアップに続いて、TECの増大に伴う強い位相シンチレーションは、主にHarang不連続領域乃至その近傍の、上向き領域2電流域、もしくは、下向き領域1電流の赤道側境界に投影される[7]。