日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:黒崎 健二(名古屋大学大学院 理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻)、仲内 悠祐(宇宙航空研究開発機構)

[PPS06-P15] ダスト高密度領域における雷によるコンドリュール形成モデル

*池田 千尋1中本 泰史1 (1.東京工業大学)

キーワード:コンドリュール、雷

コンドリュールは半径0.1-1 mmの球状の組織で、コンドライト隕石の主要な構成要素である(Scott 2007)。コンドリュールは太陽系形成初期に形成されたことが分かっている。そのため、コンドリュールは初期太陽系星雲についての重要な情報を持っている可能性がある。コンドリュールは初期太陽系星雲内でダスト粒子が数分以内で加熱されて溶融し、1-1000 K/hourの速度で冷却され固まったと考えられている(Desch et al. 2012)。また、コンドリュールは揮発性物質を含むことから、ダスト密度の高い領域で形成されたとされている (Alexander et al. 2008)。コンドリュールの形成メカニズムは解明されていないが、衝撃波、天体衝突、X-wind、雷によって形成されたとする説がある。本研究では、雷によるコンドリュール形成について、コンドリュール の熱進化の観点から研究を行った。

コンドリュールの熱進化は今までに、Horanyi et al. (1995)で研究された。この研究では初期太陽系星雲での雷の発生を仮定し、雷内のガスとダストの時間進化についての数値計算を行い、コンドリュールの熱進化を計算した。計算の結果得られたコンドリュールの冷却速度は、結晶組織の分析から推定されているコンドリュールの冷却速度よりも速くなった。一方、雷の発生についての研究によると、雷の発生にはダストとガスの質量比は100:1以上である必要がある (Muranushi 2010)。しかし、Horanyi et al. (1995)では雷の内部にはダスト粒子が1個だけ存在する状況を考えていた。
本研究ではダスト密度の高い領域での雷の発生を考え、コンドリュールの熱進化を数値計算した。特に、ダスト密度が高い状況でコンドリュール形成の冷却速度条件を満たすことができるのかを調べた。その結果、コンドリュール形成条件に合う状況が存在することが分かった。本研究により、初期太陽系星雲において、雷によるコンドリュール形成が可能であることが示唆された。