日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG61] 変動帯ダイナミクス

2019年5月28日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:深畑 幸俊(京都大学防災研究所)、竹下 徹(北海道大学大学院理学院自然史科学専攻)、岩森 光(海洋研究開発機構・地球内部物質循環研究分野)

[SCG61-P26] 2016年ニュージーランド・カイコウラ地震の震源域における応力場

*松野 弥愛1岡田 知己1松本 聡2河村 優太2飯尾 能久3佐藤 将1Bannister Stephen4Ristau John4Savage Martha5Townend John5Pettinga Jarg6Ghisetti Francesca7Sibson Richard8 (1.東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター、2.九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター、3.京都大学防災研究所、4.GNS Science, New Zealand、5.Victoria University of Wellington, Wellington, New Zealand、6.University of Canterbury, Christchurch, New Zealand、7.TerraGeologica, Ruby Bay, New Zealand、8.University of Otago, Dunedin, New Zealand)

本研究では、ニュージーランドの南島北部で発生したカイコウラ地震を研究対象とし、地震のメカニズム解を複数決定することによって、本震前後の応力場を求めた。この地域の応力場を求めた先行研究として佐藤(2017: 東北大学修士論文)があるが、本震断層面上で余震が多く起きている場合、断層面が偏りを持って分布している可能性があるため、本震断層面上で発生した余震メカニズム解の影響を検討する必要がある。そのため、Hamling et al. (2017)で設定された20の断層モデルと余震メカニズム解とのKagan角(Kagan, 1995)を用いて、断層面上で起きていると考えられる余震を取り除いた後、応力テンソルインバージョンを行った。
それぞれの余震に対し最も近い断層とのKagan角を求めた結果、多くの地震のKagan角はメカニズム解の誤差を超えるような大きい値を取り、余震には本震断層面以外で起きた地震も多く含まれると考えられる。
本震後の地震を用いた応力テンソルインバージョンの結果、南島北部のロンドンヒル断層付近の地域やKekerengu断層付近の地域では、Kagan角の閾値に依らず安定した横ずれ断層型となった。また水平最大圧縮軸方向はおよそN115Eであり、本震前について得られている方向と概ね変わらなかった。しかし、本震の震源付近の地域では複数断層が存在する地域であるためか、安定した応力場が得られなかった。今後は、本震の震源付近の地域や本震前の地震についてもメカニズム解を増やし、安定した応力場を得られるようにする必要がある。