[SMP33-P11] Melting relations of the Fe-Ni-S-C system and the formation of superdeep diamonds
キーワード:ダイヤモンド、マントル遷移層、Fe-Ni-S-C系、液体合金、沈み込むスラブ
天然に産する多くのダイヤモンドは、深さ150-200 kmの上部マントル内で生成する。しかし、マントル遷移層や下部マントルに由来する超深部起源ダイヤモンドの存在も近年では多数報告されている。Smith et al.(2016)は、超深部起源ダイヤモンドの一つであるCLIPPIRダイヤモンドの包有物中に固化したFe-Ni-S-Cメルトを発見し、このダイヤモンドがマントル遷移層に沈み込んだスラブの上面でFe-Ni-S-Cメルトから生成したと考えた。本研究ではマントル遷移層でのダイヤモンド生成条件を明らかにすることを目的として、Fe-Ni-S-C系の高温高圧急冷実験を行った。
高温高圧実験はKAWAI型マルチアンビル装置を用い、15 GPa、900-1400 Kの条件で行った。15 GPaでは1400 K以上でダイヤモンドがFe-Ni-S-Cメルトと共存する。ダイヤモンドと共存する液相は硫黄濃度が約12 wt.%までは最大炭素溶解度が1.5 wt.%まで減少するが、硫黄濃度が12 wt.%より高くなると最大炭素溶解度が増加する。マントル中の炭素含有量を考慮すると、15 GPaでは硫黄濃度が5から15 wt.%の範囲にあるとき炭素が過飽和となり鉄合金メルトからダイヤモンドが析出される。
マントル遷移層の深さ450 km(15 GPa)での温度は1400 Kよりも高いのでFe-Ni-S-Cメルトからダイヤモンドが生成され得る。一方、マントル遷移層に沈み込んだスラブの上面は低温であるため、ダイヤモンドは生成できない。したがって、CLIPPIRダイヤモンドは古代のより温度が高いスラブ中で生成した可能性があると考えられる。また、マントル遷移層自体が玄武岩組成である場合はCLIPPIRダイヤモンドのようなエクロジャイト質ダイヤモンドの起源はスラブに限定されない。
高温高圧実験はKAWAI型マルチアンビル装置を用い、15 GPa、900-1400 Kの条件で行った。15 GPaでは1400 K以上でダイヤモンドがFe-Ni-S-Cメルトと共存する。ダイヤモンドと共存する液相は硫黄濃度が約12 wt.%までは最大炭素溶解度が1.5 wt.%まで減少するが、硫黄濃度が12 wt.%より高くなると最大炭素溶解度が増加する。マントル中の炭素含有量を考慮すると、15 GPaでは硫黄濃度が5から15 wt.%の範囲にあるとき炭素が過飽和となり鉄合金メルトからダイヤモンドが析出される。
マントル遷移層の深さ450 km(15 GPa)での温度は1400 Kよりも高いのでFe-Ni-S-Cメルトからダイヤモンドが生成され得る。一方、マントル遷移層に沈み込んだスラブの上面は低温であるため、ダイヤモンドは生成できない。したがって、CLIPPIRダイヤモンドは古代のより温度が高いスラブ中で生成した可能性があると考えられる。また、マントル遷移層自体が玄武岩組成である場合はCLIPPIRダイヤモンドのようなエクロジャイト質ダイヤモンドの起源はスラブに限定されない。