[SSS13-P20] コーダ規格化法を用いた茨城県周辺域のKiK-net観測点におけるサイト増幅特性の推定
キーワード:サイト増幅特性、コーダ規格化法、茨城県
近地地震のコーダ波のエネルギーは、十分な時間が経過すると空間的にほぼ一様に分布することが経験的に知られている。コーダ規格化法はこの事実を前提として、コーダ波の記録から震源特性・伝播経路特性・サイト増幅特性を分離する手法である(Sato et al., 2012)。コーダ規格化法を用いて地震観測点におけるサイト増幅特性を推定した研究例は多い(例えば、Takahashi et al. 2005; Takemoto et al., 2012)。しかし、同一地域で発生する複数の地震による推定値のばらつきの大きさに注目した研究例は少ないように見える。
本研究では、茨城県周辺域のKiK-netの21観測点およびF-netのTSK(つくば)観測点の強震記録にコーダ規格化法を適用した。用いた地震は4.7≦Mw≦6.4の31個の近地地震であり、発生地域に応じて4グループに分類した。各地震に対して、震央距離100 km以内の観測点のうち、最も遠い点においてS波走時の2倍経過後の時刻から約10秒間の波形データを使用した。増幅率が小さいと期待されるTSKを基準点として、KiK-netの各観測点の相対的なサイト増幅特性を求めた。また4つの地震グループ毎に増幅率の幾何平均を求めた。
解析結果は以下の通りである。(1) 低周波(0.5~1Hz)での増幅率には、基盤深度および表層地質年代との相関が見られ、既往研究(例えば、Takemoto et al., 2012)と調和的であった。(2) 基盤が浅い北部地域では、周波数によらず、地震ごとの増幅率のばらつきは小さく、地震グループごとの幾何平均はおおむね一致した。(3) 基盤が深い南部地域では増幅率のばらつきが大きく、地震グループごとの幾何平均にも差が見られた。(4) 増幅率の幾何標準偏差と、基盤深度および表層地質年代との間にも相関が見られた。(5) 大部分の観測点において、増幅率と震央距離の間に明確な関係は見られず、全体としてはコーダ波エネルギーの空間一様性が成り立っているように見える。
謝辞
防災科学技術研究所のKiK-netとF-netの強震記録およびJ-SHISの基盤深度データを使用しました。
本研究では、茨城県周辺域のKiK-netの21観測点およびF-netのTSK(つくば)観測点の強震記録にコーダ規格化法を適用した。用いた地震は4.7≦Mw≦6.4の31個の近地地震であり、発生地域に応じて4グループに分類した。各地震に対して、震央距離100 km以内の観測点のうち、最も遠い点においてS波走時の2倍経過後の時刻から約10秒間の波形データを使用した。増幅率が小さいと期待されるTSKを基準点として、KiK-netの各観測点の相対的なサイト増幅特性を求めた。また4つの地震グループ毎に増幅率の幾何平均を求めた。
解析結果は以下の通りである。(1) 低周波(0.5~1Hz)での増幅率には、基盤深度および表層地質年代との相関が見られ、既往研究(例えば、Takemoto et al., 2012)と調和的であった。(2) 基盤が浅い北部地域では、周波数によらず、地震ごとの増幅率のばらつきは小さく、地震グループごとの幾何平均はおおむね一致した。(3) 基盤が深い南部地域では増幅率のばらつきが大きく、地震グループごとの幾何平均にも差が見られた。(4) 増幅率の幾何標準偏差と、基盤深度および表層地質年代との間にも相関が見られた。(5) 大部分の観測点において、増幅率と震央距離の間に明確な関係は見られず、全体としてはコーダ波エネルギーの空間一様性が成り立っているように見える。
謝辞
防災科学技術研究所のKiK-netとF-netの強震記録およびJ-SHISの基盤深度データを使用しました。