日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS13] 強震動・地震災害

2019年5月27日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:栗山 雅之(一般財団法人 電力中央研究所 地球工学研究所 地震工学領域)、染井 一寛(一般財団法人地域地盤環境研究所)

[SSS13-P32] ネパール・カトマンズ盆地における反射法地震探査

*小鹿 浩太1川崎 悠介1プラダン オム1山本 正人1信岡 大1松原 由和1松山 尚典1Monika Jha2Chintan Timisina2Suresh Shrestha2Mukunda Bhattarai2Dinesh Nepali2Soma Nath Sapkota2三宅 弘恵3纐纈 一起3 (1.応用地質株式会社、2.ネパール産業省鉱山地質局、3.東京大学地震研究所)

キーワード:カトマンズ盆地、反射法地震探査

2015年4月25日、カトマンズから北西へ78 km離れた地域でMw7.8 の地震(USGS, 2015)が発生した(ゴルカ地震)。また,同年5月12日にカトマンズから北東へ約80 km離れた地域でMw7.3の最大余震が発生した。これらの地震によりカトマンズ盆地内で多くの建物被害が発生したことから,カトマンズ盆地の地下構造が地震動に大きな影響を与えていると考えられる。
 この地震の発生を受けて、今後発生が予想されているヒマラヤ前縁帯での巨大地震によるカトマンズ盆地の被害軽減に資するための地盤の地震工学的評価,および途上国の科学技術支援を行うことを目的とし,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)および独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で実施しているSATREPSプロジェクトにおいてネパール地震防災に関するプロジェクト(H27年度〜31年度、代表:纐纈一起・Soma Nath Sapkota)が採択された。本プロジェクトでは,カトマンズ盆地の地下構造を明らかにするための調査が行われている。2017年にはカトマンズ盆地で重力探査を実施し,カトマンズ盆地の重力基盤構造を明らかにした(Pradhan et al., 2018)。
 2018年は,カトマンズ盆地の詳細な基盤構造および上位堆積層の堆積構造を明らかにすることを目的として反射法地震探査を実施した。測線は,重力探査によって重力基盤が急激に変化すると推定されたトリブバン国際空港(TIA)および重力基盤が深いと推定された地域に位置するネパール農業研究所(NARC)とした。測線長はそれぞれ約4km(TIA)および約1km(NARC)である。IVI社のエンバイロバイブ1台を日本より持ち込み,探査の振源として使用した。
 本調査結果より,両測線において重力探査で推定された重力基盤構造とほぼ同一深度の反射面を捉えることができ,カトマンズ盆地内の堆積構造も明らかになった。本成果は,カトマンズ盆地内の地盤構造を視覚的に示した世界初の結果であり,今後の地震防災に大きく資することが期待される。