[SSS14-P26] 2011年東北沖地震後に活発化した茨城県北部の地震活動:内陸地震の繰り返し
キーワード:earthquake cycle、northern Ibaraki earthquake、aftershock
2016年12月28日に茨城県北部で発生した M6.3の地震は,2011年3月19日 のM6.1茨城県北部の地震と同一の断層で,再び滑りを生じさせた可能性が指摘されている (Fukushima et al., 2018; Uchide, 2017, JpGU)。内陸断層においてそのような短期間に同一の場所で繰り返し地震が発生するという報告例は非常に珍しく,その発生過程を詳細に調べることは地震発生サイクルの理解のために非常に重要であると考えられる。本講演では,空間分解能の上では地表で得られる測地データよりも高い解像度を持つ地震の震源データを用いることにより,2011年と2016年の地震の発生過程について調べている内容について紹介する。
最初に,地震波形の相互相関を用いて茨城県北部で発生した地震の震源位置の再決定を行った。対象としたのは気象庁一元化カタログ記載の 2003年から 2018年10月31日までMJMA>2の地震 13,410個である。Yoshida & Hasegawa (2018)と同様に,波形相関により求めた精密な P, S波の相対到達時刻差データを用いた Double-Difference法 (Waldhauser & Ellsworth, 2002)により,相対震源決定精度を大幅に向上させた。
得られた震源分布は複雑な特徴を持つものの,茨城県北部地域においては西傾斜する一枚の卓越した面構造が見られ,メカニズム解との比較からもこの面が 2011年や2016にM6の地震を生じさせた断層面に対応すると考えられる。 2016年のM6地震後に周辺で震源の面構造が新たに生じると言うことは無く,余震のほとんどは以前から見えていたと同じ面に集中して分布する。このことは,2016年のM6.3の地震が 2011年に発生した M6.1の地震と同じ断層面で滑りを生じさせたとする Fukushima et al. (2017)らの推定結果を支持する。
M6規模の地震が同一場所で繰り返して発生したとすると,それより小さい規模の地震も同様に同じ場所で繰り返し生じていたかもしれない。詳細な震源位置と波形相関に基づき,M>2の地震の発生場所を調べた結果,M6規模の地震の主要な破壊域(Fukushima et al., 2018)の周囲に,それを取り囲むように繰り返し地震と推定される多数の地震群が見出だされた。これらの小繰り返し地震は、M6規模の地震の後に生じた余効滑りが原因で発生したと考えられる。Nadeau & Johnson (1998)による地震モーメントと滑り量の関係式に基づくと,場所にもよるが同一箇所で数十センチ程度と,本震滑りと同程度のすべりが生じていたことが推定され,その大きさはおよそ本震の滑り量と同程度であった。また、2011年の地震後の方が、2016年の地震後よりも滑り量が大きく、Fukushima et al. (2018)の推定と一致する。これらのことは,余震の発生や地震発生サイクルの理解のために,本震による応力変化の影響のみならず,本震後の余効滑りが大きく影響していることを意味する。
最初に,地震波形の相互相関を用いて茨城県北部で発生した地震の震源位置の再決定を行った。対象としたのは気象庁一元化カタログ記載の 2003年から 2018年10月31日までMJMA>2の地震 13,410個である。Yoshida & Hasegawa (2018)と同様に,波形相関により求めた精密な P, S波の相対到達時刻差データを用いた Double-Difference法 (Waldhauser & Ellsworth, 2002)により,相対震源決定精度を大幅に向上させた。
得られた震源分布は複雑な特徴を持つものの,茨城県北部地域においては西傾斜する一枚の卓越した面構造が見られ,メカニズム解との比較からもこの面が 2011年や2016にM6の地震を生じさせた断層面に対応すると考えられる。 2016年のM6地震後に周辺で震源の面構造が新たに生じると言うことは無く,余震のほとんどは以前から見えていたと同じ面に集中して分布する。このことは,2016年のM6.3の地震が 2011年に発生した M6.1の地震と同じ断層面で滑りを生じさせたとする Fukushima et al. (2017)らの推定結果を支持する。
M6規模の地震が同一場所で繰り返して発生したとすると,それより小さい規模の地震も同様に同じ場所で繰り返し生じていたかもしれない。詳細な震源位置と波形相関に基づき,M>2の地震の発生場所を調べた結果,M6規模の地震の主要な破壊域(Fukushima et al., 2018)の周囲に,それを取り囲むように繰り返し地震と推定される多数の地震群が見出だされた。これらの小繰り返し地震は、M6規模の地震の後に生じた余効滑りが原因で発生したと考えられる。Nadeau & Johnson (1998)による地震モーメントと滑り量の関係式に基づくと,場所にもよるが同一箇所で数十センチ程度と,本震滑りと同程度のすべりが生じていたことが推定され,その大きさはおよそ本震の滑り量と同程度であった。また、2011年の地震後の方が、2016年の地震後よりも滑り量が大きく、Fukushima et al. (2018)の推定と一致する。これらのことは,余震の発生や地震発生サイクルの理解のために,本震による応力変化の影響のみならず,本震後の余効滑りが大きく影響していることを意味する。