[SSS15-P16] 徳島平野北縁断層の浅部S波反射法データの再解析および再解釈
キーワード:活断層、反射法地震探査
活断層評価を精度よく実施することは、地震災害の長期予測や被害予測を行う上で非常に重要である。活断層評価を精度よく実施するためには、活断層の位置や状態、活動歴をより正確に把握することは重要であり、様々な調査が複合的に行われる。一般的に活断層調査では、ボーリング調査やトレンチ調査等も行われるが、これらの調査結果は一次元的であったり、または調査範囲が極浅層部に限られたりと活断層評価を広く精度よく実施するには十分とは言い難い。一方、浅層反射法地震探査は、地下の状態を非破壊で連続的に捉えることができるため、有用な手法な一つとなっている。筆者らは、徳島県に分布する鳴門南断層を対象とし1998年に取得されたS波浅層反射法データについて再解析および再解釈を行った。なお、再解析に使用したデータは、測線長100m、受振点間隔0.5m、起振点間隔1.0mであり、振動源にはS波ポータブルバイブレーターを用いた。本発表では、これらの再解析および再解釈によって得られた、鳴門南断層の活動歴を紹介する。再解析では、当時得られたデータを使用し、現在のコンピュータ技術を使うことにより、深度50mまでの従来に比べてより詳細な地下構造を得ることができた。また従来の解析結果に比べ断層位置をより鮮明に捉えることができ、断層位置を詳しく特定することができた。断層の上端はおよそ15mであり、測定深度下部までおよそ70度のみかけ傾斜で分布する構造が得られた。また、断層周辺の撓曲などといった地質構造なども捉えられ、より詳細な地質構造を得ることができた。その後に実施されたボーリング試料分析などの結果を用いて再解釈を行い、活断層の活動履歴を明らかにすることができた。再解釈結果より、鳴門南断層は、現在までに大きな変動を3回起こしていると推定できる。また、最大変位量は、およそ14.4mで、変位速度は年間当たり1.77mmと推定される。本研究は「平成9年度文部科学省研究費補助金(基盤研究(1)(A))〔内陸活断層の地震危険度評価〕(課題番号:07308035)」の一部を使用した。