[SSS16-P12] 水準測量データから推定する2017年御嶽山東山麓でのM5.6地震の断層モデル
キーワード:御嶽山、精密水準測量、断層モデル
2017年6月25日、御嶽山東山麓の長野県南部を震源とするM5.6の地震が発生し、最大震度5強(長野県王滝村および長野県木曽町)が観測された。御嶽山の東山麓では、1970年代後半から現在まで群発地震が継続しており、このM5.6 地震の震源は群発地震の震源域に位置する。
御嶽山の東山麓には水準路線が設置されており、精密水準測量を繰り返し実施してきた。東山麓には、路線距離38㎞・水準点数98点で構成される桟路線、屋敷野路線、木曽温泉路線、中の湯・御岳ロープウエイ路線が設置され、2017年4月・2018年4月には全路線の測量が実施されている。また、2017年9月にはM5.6 地震を受け、震源に近い一部路線の緊急観測が実施された。
M5.6 の地震を含む期間の2017年4月24日~27日と9月10日~11日の測量結果を比較すると、BM16を基準として屋敷野路線および木曽温泉路線に隆起が検出された。最大隆起は屋敷野路線のBM213の28mmである。
水準測量では、水準路線上のみでしか地殻変動が検出できず、M5.6地震による変動の広がりを面的にとらえることはできないため、地震を挟む期間のALOS-2/PALSAR-2のデータについて干渉SAR解析を行い、水準測量と干渉SAR解析で変動が検出された領域がほぼ同じであることを確認した。
この地震の断層モデルとして、1枚の矩形断層を仮定し、断層パラメータの推定を行った。断層パラメータの初期値として、地震発生から1ヵ月分のM>0の地震に対してDD法を用いて決定された合計42個の震源データを使用し断層の形状を決定した。断層パラメータの初期値を中心に最適パラメータの探索を遺伝的アルゴリズムによって行うことで、1枚の矩形断層によって水準測量で検出された上下変動はおおむね説明できることが明らかとなった。
地震発生後の2017年9月~2018年4月の測量結果の比較からも、BM16を基準として屋敷野路線および木曽温泉路線に約5㎜の隆起が検出された。群発地震域では、群発地震活動が比較的活発であった2002~2004年にかけて隆起が検出されており、球状圧力源も推定されている。地震後の隆起が今後も継続するのか測量を継続する必要であると考える。
謝辞:本研究で用いたPALSAR-2データはPIXEL (PALSAR Interferometry Consortium to Study our Evolving Land surface)において共有しているものであり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学地震研究所との共同研究契約によりJAXAから提供されたものである。PALSAR-2データの所有権はJAXAにある。干渉SAR解析には小澤拓博士が開発したRINCを使用した。ここに記して感謝いたします。
御嶽山の東山麓には水準路線が設置されており、精密水準測量を繰り返し実施してきた。東山麓には、路線距離38㎞・水準点数98点で構成される桟路線、屋敷野路線、木曽温泉路線、中の湯・御岳ロープウエイ路線が設置され、2017年4月・2018年4月には全路線の測量が実施されている。また、2017年9月にはM5.6 地震を受け、震源に近い一部路線の緊急観測が実施された。
M5.6 の地震を含む期間の2017年4月24日~27日と9月10日~11日の測量結果を比較すると、BM16を基準として屋敷野路線および木曽温泉路線に隆起が検出された。最大隆起は屋敷野路線のBM213の28mmである。
水準測量では、水準路線上のみでしか地殻変動が検出できず、M5.6地震による変動の広がりを面的にとらえることはできないため、地震を挟む期間のALOS-2/PALSAR-2のデータについて干渉SAR解析を行い、水準測量と干渉SAR解析で変動が検出された領域がほぼ同じであることを確認した。
この地震の断層モデルとして、1枚の矩形断層を仮定し、断層パラメータの推定を行った。断層パラメータの初期値として、地震発生から1ヵ月分のM>0の地震に対してDD法を用いて決定された合計42個の震源データを使用し断層の形状を決定した。断層パラメータの初期値を中心に最適パラメータの探索を遺伝的アルゴリズムによって行うことで、1枚の矩形断層によって水準測量で検出された上下変動はおおむね説明できることが明らかとなった。
地震発生後の2017年9月~2018年4月の測量結果の比較からも、BM16を基準として屋敷野路線および木曽温泉路線に約5㎜の隆起が検出された。群発地震域では、群発地震活動が比較的活発であった2002~2004年にかけて隆起が検出されており、球状圧力源も推定されている。地震後の隆起が今後も継続するのか測量を継続する必要であると考える。
謝辞:本研究で用いたPALSAR-2データはPIXEL (PALSAR Interferometry Consortium to Study our Evolving Land surface)において共有しているものであり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学地震研究所との共同研究契約によりJAXAから提供されたものである。PALSAR-2データの所有権はJAXAにある。干渉SAR解析には小澤拓博士が開発したRINCを使用した。ここに記して感謝いたします。